中日、今シーズンの注目ポイント 最下位からの逆襲の雰囲気あり

ベースボール・タイムズ

ゲレーロ、ビシエドで長打力解消

大砲としての期待が掛かるゲレーロ 【写真は共同】

 4年連続のBクラス、昨季は5位に5ゲーム差をつけられての最下位と、落ちるところまで落ちた感のある中日。谷繁元信前監督に代わって昨季途中から指揮を執る森繁和監督にとっては厳しい状況だが、逆に言えば後は上昇するのみと、思い切ったチーム改革に挑めるシーズンでもある。

 昨季はチーム本塁打が89本と、リーグワーストだった長打力不足の解消に期待できる新戦力がゲレーロだ。キューバ出身のゲレーロは、15年にドジャースで106試合に出場して11本塁打を記録した大砲候補。オープン戦でも3本塁打を放ってその片鱗を見せつけた。昨季、衝撃的な活躍をしたビシエドとのキューバコンビは、他球団の脅威になりそうだ。

 昨季は2ケタ勝利、規定投球回数がともにゼロだった投手陣では、ドラフト1位で柳裕也を獲得した。新人王候補の呼び声も高かった柳だが、キャンプ中に右ひじ周辺の炎症で離脱したこともあり、開幕1軍は難しい状況だ。新外国人選手では、抑え候補としてアラウホとロンドンを獲得したが、オープン戦では結果を残せておらず、バルデス、ジョーダンらとの外国人枠争いとなる。

 野手では、大学球界屈指の内野手と評価されたドラフト2位の京田陽太が、評判通りの実力を見せている。オープン戦の終盤にはショートのスタメンで起用が続いていており、堂上直倫を差し置いての開幕スタメンもありそうな勢いだ。

鈴木、溝脇、石岡ら若手が急成長

 キャンプ、オープン戦では新加入の選手よりも、むしろ2年目以降の若手選手の台頭が目に付いた。最も目立った活躍をしたのが、投手では鈴木翔太、野手では溝脇隼人の2人だ。高卒4年目の鈴木は、オープン戦5試合で防御率1.69と好投して一躍、先発ローテ候補に躍り出た。溝脇も高卒でプロ入りした内野手で、オープン戦では主にセカンドで起用され、打率3割5分0厘を記録して課題と言われた打撃面での成長を見せている。

 他にも2年目の石岡諒太が豪快なスイングと俊足で内野の一角を狙う活躍を見せ、遠藤一星もビシエドのファースト起用で外野のスタメンに食い込む可能性が高い。昨年までのレギュラー格だった高橋周平や福田永将が、不振や故障で開幕1軍が微妙な状況となっているが、それ以上の新戦力の台頭が見込めそうな気配はある。

 オフの最大の懸念材料だった大島洋平と平田良介のFA流出を阻止し、さらに単年契約だったビシエドの契約延長にも成功した。加えて、先発陣では吉見一起の完全復活が期待できそうな状況で、大野雄大との左右のダブルエースはレベルが高い。3番手以降も若松駿太、小熊凌祐が有力で、又吉克樹の先発転向も決まっている。リリーフ陣も田島慎二と岡田俊哉の左右の二枚看板は健在で、祖父江大輔、三ツ間卓也に、実績組の浅尾拓也、岩瀬仁紀と層が厚い。絶対的なストッパーが確立できれば、最下位からの逆襲も期待させる雰囲気はある。

オープン戦成績

5勝11敗3分(12チーム中9位)

チームトップ
打率:遠藤一星 2割3分1厘
本塁打:ゲレーロ 3本
打点:ゲレーロ 10打点
安打:大島洋平 20本
四球:ゲレーロ 10
盗塁:遠藤一星 7

防御率:大野雄大 2.05
勝利:浅尾拓也、吉見一起、小熊凌祐、バルデス、柳裕也 1勝
セーブ:鈴木翔太、アラウホ、 1セーブ
登板:田島慎二、アラウホ 8試合
投球回:大野雄大 22回
奪三振:大野雄大 17

過去5年のシーズン成績

2016年:6位 58勝82敗3分
2015年:5位 62勝77敗4分
2014年:4位 67勝73敗4分
2013年:4位 64勝77敗3分
2012年:2位 75勝53敗16分
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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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