時間短縮へさまざまな検討を 立浪和義氏が懸念するプロ野球の課題

週刊ベースボールONLINE

長時間でも白熱したWBCだが

4時間46分の熱戦となったWBCのオランダ戦。試合終了まで多くのファンが見守った 【写真は共同】

 侍ジャパンの素晴らしい活躍で、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が大変盛り上がりました。今回は試合時間短縮というテーマで考えてみたいと思います。

 球数制限で投手交代が頻繁になり、試合時間が長くなりがちのWBCですが、3月12日の2次ラウンド初戦、オランダ戦は4時間46分でした。試合開始が19時と遅かったこともあり、終了は深夜0時近く。タイブレークルールでなければ、さらに長引いた可能性もあります。息をのむような劇的な展開が続く、まさしく名勝負。しかも日本が勝利とあって、長い試合時間を感じなかったという人も多く、会場となった東京ドームでも、終電をあきらめて、最後まで試合を見守った人も多かったと聞いています。

 ただ、あのように長い試合が、ペナントレースであったらどうだったでしょう。

 もちろん、今回のような緊迫した素晴らしい試合であれば別ですが、だらだらと一方的な展開の長い試合も珍しくありません。やっている側はどんな試合でも必死ですが、“見る”という観点で考えた場合、長くても3時間程度に抑える工夫をすべき時期が来ているように思います。

敬遠の申告制には賛成

 アメリカではメジャーリーグがNBA、NFLに人気面で差をつけられ始めている危機感もあって、ロブ・マンフレッド・コミッショナーが、よりスピーディーな試合にするため、さまざまな策を提案しています。

 先日、その一つとして、敬遠四球の申告制を導入する決定をしました。コリジョンルールや危険スライディングの禁止など、通常メジャーの施策は1年後に日本で導入されるケースが多く、国際大会がある以上、いずれは導入せざるを得ないものだと思います。

 日本の球界関係者、さらにファンの間でも賛否両論があるようです。敬遠のために4球投げることも野球の楽しみの一つではと、どちらかと言えば反対の声が多いようです。確かに、その4球の間に試合が動く可能性は十分にあります。敬遠の間に投手の暴投や、あえて打ってのサヨナラヒットが生まれた名勝負もありました。

 私は導入に賛成です。私自身、敬遠球を打とうと思ったことはありませんし、4球投げている分、余計な時間がかかるだけだと思っていました。打席やあるいは守っていても、お客さんのヤジで殺伐(さつばつ)とした雰囲気をヒシヒシと感じます。それを楽しんでいるファンの方もいるかもしれませんが、本来の野球の醍醐味とは別だと思います。

 もちろん、敬遠の申告だけで、劇的に試合時間が縮まることはありません。日本では高校野球が平均2時間程度です。あそこまで徹底するのは難しいでしょうが、攻守交代や投手交代、打席に入るまでの時間を短縮するのはベンチや選手の意識でも変わってきます。

 ファンの方あってのプロ野球。試合時間の短縮はメジャーがどうこうではなく、今後、日本球界で、もっとさまざまな角度から真剣に取り組むべきテーマだと思います。
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