ロドリゲス監督「今後の基盤は築けた」 プエルトリコは準優勝も満足感

永塚和志

チームメートと健闘を称え合う精神的支柱・モリーナ(写真右) 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝、プエルトリコvs.アメリカが22日(現地時間)、ロサンゼルスのドジャー・スタジアムで行われ、アメリカが8対0で勝利。大会を初制覇した。

 試合後、プエルトリコのエドウィン・ロドリゲス監督が会見に出席し、敗戦後の心境と大会全体の戦いぶりについて語った。

7勝1敗の成績を誇りに思うべき

 以下、ロドリゲス監督の一問一答。

――あなたのチームは今大会最初の2ラウンドと準決勝まで素晴らしい進撃を見せましたが、決勝戦の結果は野球では仕方のないものと割り切れるものなのでしょうか?

 われわれは素晴らしいチームに敗れたのです。アメリカというオールスター級選手ばかりのチームとプレーしました。相手は戦いに来ました。そして向こうの投手力が上回りました。得点面や打撃面でも上回りました。素晴らしい試合でした。つまりは、ベストな2チームが今夜戦い、相手がすべての面で上でした。

 しかし、私はとても誇らしい気持ちです。プエルトリコ全体が誇らしく思ってくれたはずです。(大会通算で)7勝1敗ですよ。だからわれわれは頭(こうべ)を垂れる必要はありませんし、誇りに思うべきです。若い選手たちの活躍にはとりわけそう思います。

――今日の7回、8回、すでに点差がついてしまった状況では、ここまで勝ちに飢える若い選手たちにはどういったことを伝えましたか? 

 選手の一人一人がこれまで通り全力でプレーし、そして楽しもうと言いました。残りの3イニングを全力で、アグレッシブにプレーし、どういう状況であれ楽しもうではないかと。結果はともあれ、われわれは全力でプレーしました。競技に敬意を表し、結果を尊重しました。それがすべてです。

――あなたがプエルトリコの野球をもっと発展させたいと言っていたと聞きました。今一度そのことをお話し願えませんか? またプエルトリコの若い野球選手たちに向けてのメッセージをお願いします。

 ここ8年でプエルトリコは有望な野球選手を育ててきました。プエルトリコは良い選手を輩出することで知られています。だからこそわれわれにはフランシスコ・リンドアやハビエル・バエス、カルロス・コレアといった選手がいるわけです。

 そして、まだまだやるべきことはあります。マイナーリーグにはすばらしい身体能力を備えながら中身は10歳、12歳といったような選手がたくさんいます。彼らには助けが必要です。しかるべきスポーツ機関からのアシストが必要ですし、また国からの財政的支援も必要です。

 また、メジャーリーグからも同様です。メジャーリーグはまだプエルトリコに手を施すことができると信じています。皆さんプエルトリコ出身の素晴らしいアスリートを見たことがあると思います。ですから私としてはメジャーリーグにもっとプエルトリコ野球に関わってほしいのです。

若い選手たちに多くの希望

23歳のリンドア(写真右)、22歳のコレアなど、楽しみな若手が多いプエルトリコ 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

――監督の立場から、今大会のチームの出来をどう総括しますか?

 目的を達成し、非常に満足しています。ここには優勝するために来ましたが、7勝1敗という成績には非常に満足しています。これによって基盤を築くことができたと考えています。

 われわれには多くの若い選手がいて、彼らは一体感を醸成し、活躍しました。私は彼ら若手選手が今後3、4回はWBCで共に戦ってくれると信じています。このチームはもっと良くなると思います。リンドアやコレア、エドウィン・ディアス、バエス、それとジョー・ヒメネス。そういった選手たちによってチームの基盤は築けたと思います。プエルトリコの人々がわれわれの試合で楽しんでくれたのならば嬉しいです。

――プエルトリコの人たちへのメッセージをお願いします。

 10月か、11月か、いつになるのかわかりませんが、われわれはプエルトリコに戻ってプエルトリコの人々と祝うつもりです。

――2大会連続で決勝戦で敗れましたが、フラストレーションは感じないのでしょうか?

 いいえ、フラストレーションはありません。2大会連続で決勝戦に進んだわけですから。非常に喜んでいます。それに、このチームには若い選手たちに多くの希望が見えます。この先3、4大会先のWBCで戦う基盤ができたと思います。

――7連勝でここまで来た選手はどう言っているのでしょうか? 

 もちろん複雑な気持ちですよ。今日優勝するためにプレーしたわけですから。ただ、アメリカという素晴らしいチームに敗れてしまいました。ですが、ここまでの戦いぶりには非常に満足しています。7勝して負けたのはたったの1度だけだったのですから。

 スタンドには何千人ものプエルトリコ人が埋め尽くし、プエルトリコでもわれわれを応援してくれました。その点では満足度は非常に大きい。私たちの心を打ちました。ですから、選手たちは満足感を持ってフィールドを去ります。プエルトリコの人々もそのことをわかってくれていると思います。
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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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