「使命感を持って戦ってくれた」 小久保監督が帰国会見で選手に感謝
「勝つために自分で決めたことを貫いた」
「勝つために自分が決めたことを実行に移す」という信念でWBCの指揮を執ってきた 【写真は共同】
当然そうしていかないといけないと思いますし、今回選出した選手たちはまだ若いですし、これから数年しっかり日本球界をけん引できる選手たちなので、そこに向かって目標を高く持ってやってほしいです。
――監督に就任してから変えることなく貫いてきたことは?
周りに惑わされないことですかね。勝つために自分で決めたことを実行に移すということを、この期間中は徹底してやってきました。当然スタメンを決めるのもひとつの仕事でしたし、先発投手を決めるのもひとつの仕事でした。その中で強化試合からいろいろな意見が出ていましたけど、そういうところに惑わされず、自分で勝てると思ったことを貫いたということです。
――この大会を通じて野球人として芽生えたものは?
芽生えたというか、代表監督はやさしいものじゃなかったですね。まず、最初に選手たちを集める中で、日の丸を背負って戦うにはリスクも高いですし、プレミア12は11月のシーズンが終わった後、WBCはシーズン開幕前と、選手たちの負担はかなり大きいです。その中で、使命感を持って、日本球界をしっかり引っ張っていくんだという気持ちを持った選手たちを集めなければいけないというところからスタートして、集めた中では当然勝ちにこだわるんですけど、勝ちにこだわるとどうしても選手起用が偏ってしまうので、ある程度みんなにチャンスを与えなければいけないですが、WBCは最後だったので当然勝つためにやったんですけど、その結果打席の少なかった選手、登板の少なかった選手が出てきてしまいました。各球団のトップ選手を集めながらそういう決断をしなければいけなかったことが一番つらかったですね。
――WBCを通して得たものは?
やはり勝負は紙一重なんだということをこの大会中に感じました。また、あれだけの選手が集まって、あれだけの集中力で戦うと、あんな試合ができるんだと感じました。そして最終的には、球場で、または画面を通じて応援してくださった日本のファンにも響いたんじゃないかなと思います。
――一戦一戦通じて日本が見せた一体感は世界に誇れるのでは?
素晴らしい選手たちに囲まれ、恵まれ、一緒に戦えたことは私自身の人生の宝物です。
――今後はどうやって野球と向き合っていくか?
しばらくゆっくりしようと思ったんですけど、仕事がいっぱい入っていましたので(笑)。また、解説をしながら、あとはこれからは応援する側に回って、選手たちの活躍を祈っています。
――代表監督は一区切り?
そうですね。一区切りです。
――ファンの皆さんへメッセージは?
ファンの皆さん、国民の方々が期待していた世界一は取れなかったんですけど、選手たちは良くやったと思います。もちろん負けた責任はすべて監督の私にあります。その頑張った選手たちのシーズンが始まりますので、WBCを通して成長した選手たちの活躍を楽しみにしてほしいですし、選手自身もWBCがあったからということではなくて、気持ちを切り替えてシーズンに入ってほしいと思います。
「侍常設化で作戦は立てやすかった」
侍ジャパンが常設化されたことで、」「選手の性格やプレースタイルが把握する時間があり、作戦を立てやすかった」と振り返った 【写真は共同】
――日本人選手で唯一、千賀滉大投手がベストナインに選ばれたが?
今知りました(笑)。彼は最初の構想としては第2先発、中継ぎという話を福岡ソフトバンクには話をしていたんですが、先発したイスラエル戦や奪三振率の高さなどで世界に衝撃を与えたところでの選出だと思います。
――東京五輪や次回のWBCに向けて編成強化の難しさがあったと思うが、今後に向けての課題は?
いっぱいありますが、会見ではなかなか申し上げられないですね。そういう場所に呼ばれることがあって、意見を聞かれることがあれば、そのときに話をします。
――侍ジャパンが常設化されての初めてのWBC。常設化はどういう意義があった?
侍ジャパンのメンバーが常連というか、常に選ばれるんだという選手たちの意識が高まったのは確かです。預かっている中では、野手がほぼ固定されてきたメンバーなので、私自身の中では彼らの性格やプレースタイルを把握できる時間があったので、そういう意味では作戦は立てやすかったですね。
――今後のご自身の夢? 12球団の監督にチャレンジしたい?
今はまったく考えていないといいますか、このWBCまで全力で来たので、これから一つの区切りとして、これからの第3の人生をどうやっていこうかなと考えていきます。12球団の監督と代表の監督は、私は12球団の監督をしたことがないですが、まったく別物なのでなかなか比べることはできないので、まだ次のことは考えていません。