「使命感を持って戦ってくれた」 小久保監督が帰国会見で選手に感謝
アメリカ戦の敗戦から1日明けて、日本で帰国会見を開いた小久保監督。「最大の目標である世界一奪還が達成できなかった」と悔しさをにじませた 【スポーツナビ】
東京での1次ラウンド、2次ラウンドを6戦全勝で通過しながらも、米国ロサンゼルスのドジャー・スタジアムで行われたアメリカとの準決勝(22日)に1対2と敗れた侍ジャパン。WBCでの2大会ぶり3度目の世界一奪還を目指して2013年10月から同チームの指揮を執ってきた小久保監督は「最大の目標を達成できなかった」と悔しさをにじませた。
一方で、選手28名には「侍ジャパンのユニホームに袖を通して日本球界を引っ張っていくという使命感で戦ってくれた」とねぎらいの言葉を送った。
アメリカ戦後に今大会限りの退任を発表していた小久保監督だが、今後は「代表監督は一区切り。解説をしながら選手たちを応援していきたい」と語った。
「世界一奪還を達成できず悔しい」
――今、日本の地に降り立っての率直な気持ちは?
この仕事を引き受けて3年半かけてチームをつくってきたんですが、このWBCの世界一奪還を最大の目標に掲げてやってきたので、それを達成できなかった悔しさは当然あります。
――成田空港でもファンから「お疲れ様でした」の声がありましたが?
正直この大会中はあまりメディアのほうには目を通さずに、ほとんどテレビもつけることがなく、どういう盛り上がりかあまり分かっていなかったんですが、日本での戦いを含めて「今回はよくやった」と周りから言ってもらえてありがたいですけど、ただ最終目標を達成できなかったという気持ちはあります。
――敗戦から1日経って感情の移り変わりはあるか?
再度、選手たち全員と握手して分かれたんですけど、中田(翔)なんかは2013年最初の侍ジャパンの集まりから来ていた選手なので、そういう彼らと過ごしてきた時間がこみ上げてきました。侍ジャパンのユニホームに袖を通して日本球界を引っ張っていくという使命感で戦ってくれた彼らに、あらためて感謝しました。
――WBCのすべての試合が終わってからロッカールームやミーティングで選手にどんな声をかけた?
終わった直後は「準決勝で負けはしたけど、ここまで戦ったんだから胸を張って日本に帰ろう」という話は選手にしました。
――アメリカ戦のゲームセットのときの心境は?
最後の最後まで何が起こるか分からないという気持ちで戦況を見つめていました。実際1次、2次の東京ラウンドから粘りがありましたので、何か起こるんじゃないかと思って最後まで試合を見ていました。
「正直1点差以上のものを感じた」
動くボール主体のアメリカ投手陣を打ち崩せず、「1点差以上のものを感じた」と振り返った 【写真は共同】
東京のときの投手とは正直ランクが上回っていましたね。というのは外国人は当然動くボールを主体に投げてくるんですけど、その動くボールのスピードだったり、動くボールの動き幅だったり、打線の状態は非常に良かったと思うんですけど、それでもほとんど芯に当てることができなかったのは、打線に関しては正直1点差以上のものを感じました。
――動くボールへの対策はどうだったのか?
出てくる投手は全部ツーシーム系のボールを投げるので、強引に打ちにいったら術中にはまるので、比較的にコンパクトにセンターに、という指示をしましたが、それすらさせてもらえなかった感じですね。
――一方で日本野球の素晴らしさ、強さ、世界で通用する部分というのを感じたと思うが?
菅野(智之)は2次ラウンドのキューバ戦での登板は自分の中で納得がいくものではなかったですが、見事に修正して、あの全員メジャーリーガーの、それも中心選手たちが集まる打線を抑えたことは、やはり日本の投手陣といいますか、トップ選手たちは十分通用するんだなと証明してくれたと思います。あとは、大会を通じて、日本の中継ぎ、抑え陣がゲームを作ってくれましたが、タテに落ちる変化球を持つピッチャーは有効だなとあらめて再認識しました。
――1次、2次ラウンドに日本打線は長打も多かったが、打撃陣の印象は?
世界は動くボールが主体で、日本球界はフォーシームが主体なので、そこを改善していくのは難しいですが、ただ、あれだけ本塁打が出たというのは、以前よりもトレーニングが発達してきて、メジャーのボールに負けないぐらいの筋力アップができてきた証しだと思うので、そこら辺は今後もどんどん伸ばしていけばいいと思います。今回、対戦した選手たちが、世界のトップの投手たちがああいうボールを投げるんだなと経験できたことがいい財産になったと思います。