2大会連続決勝へ導いた鉄壁の守備 プエルトリコの新時代到来は近い!?

杉浦大介

前回覇者に類似した勢い

 こうして勢いのあるオランダをも振り切ったプエルトリコは、ほとんど理想的な形で決勝戦に臨んでくる。ここまで7戦全勝で、今夜も12安打と依然として打撃好調。決勝では先発ローテーションの中で最も安定感のあるセス・ルーゴ(大会通算11イニングで防御率2.45)をスターターに持ってこられるのも大きい。

「母国のためにすべてを捧げ、喜びを届けたかった。最後のゲームであるかのような気持ちでプレーした。国を代表して戦えるのは名誉だし、誇りでもある。子供の頃に見ていたもの(国際試合)を、今ではプレーしているんだ」

 プエルトリコのゲームを見てきた人には、抑えの切り札・ディアスのそんなエモーショナルな言葉も大げさには感じられないはずだ。そろって頭を金髪に染めたタレント集団は、初優勝に向けてチーム一丸。ラテン系らしいノリの良さも手伝い、2013年の前回大会で完全優勝を飾ったドミニカ共和国によく似た勢いが生まれているように見える。

敗戦のオランダ監督が吐露したこと

「(決勝戦は)プエルトリコが有利だろう。まだ無敗な上に、明日は休養できるからね。彼らこそがこれまで私たちが対戦した中で最高のチームだった」

 2次ラウンドでは日本とも対戦したオランダ・ミューレン監督のそんな言葉は、正直な思いの吐露だったに違いない。投手が試合をつくり、打者が必要な得点をたたき出し、最後は堅守で逃げ切る勝ちパターンを確立してきた。アメリカ、日本のどちらが上がってきても、ベテラン、若手がかみ合った今のプエルトリコに勝つのは容易なことではなさそうである。

 第3回ではドミニカ共和国に決勝で敗れたプエルトリコに、ついにWBCを制する準備が整ったと言えるのか。23歳のリンドア、22歳のコレア、24歳のバエスが躍動するチームは魅力抜群。彼らが頂点に立ち、プエルトリカン・ベースボールの新時代到来を告げる日は間近に迫っているのかもしれない。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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