イチロー、ケガの回復具合は……接触でのスロー調整は結果オーライ!?
ケガらしいケガがないイチロー
2月下旬のスプリングトレーニング中の守備練習で同僚のバーンズと接触したイチロー。その後の回復具合と2017年シーズンに向けての仕上がりは!? 【写真は共同】
ケガのことを知っていて言っているのか、知らないで言っているのか。分からないまま、「守備練習で味方選手と交錯して右ひざの上と腰を痛め、別メニューで調整している」と説明すると、広報の1人が言った。
「いや、イチローはケガをしない」
なぜか、自信たっぷり。気のせいだとも言いたげだったが、確かにイチローとケガの関係は、アメリカのドナルド・トランプ大統領とメキシコのエンリケ・ペニャ・ニエト大統領が一緒にゴルフをすることと同じぐらい、イメージを一致させることが難しい。
マリナーズ時代を振り返ると、2002年4月、ファウルボールを追って一塁側のフェンスに左ひざをぶつけ、試合途中で退いた。4針縫い、翌日の試合を欠場したが、2日後には 復帰している。2009年は、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)から戻って来てから体調不良を訴えると胃潰瘍と診断され開幕戦を欠場したが、故障者リストに入ったのは今でもそのときだけ。そもそもあのとき、本人は、「開幕からいけた」と復帰したときに話しており、大事を取ったに過ぎない。その年の8月、左ふくらはぎの張りで8試合を欠場したが、過去、ケガらしいケガといえば、このときだけではないか。
腰の回復は100%と言えないよう
外野の守備練習中にバーンズと接触し、コーチ(右)から声を掛けられるイチロー 【写真は共同】
「朝起きたとき、今日は明らかに良かったけど、動くと(痛みが)出て来たりとか、そんな感じ」
その時点で、腰の回復には時間がかかるかもしれない、とにおわせていたわけだが、15日の試合後の段階でも、「なかなか、そこから進まないですよ。最後のちょっとはなかなか進まないです」と話したそうだ。必然、違和感が消えるまでは、どこかでセーブをしながらの調整になるが、オープン戦の初出場が3月5日までずれ込んだことは、結果オーライになる可能性はある。
今年のキャンプは、WBCがある関係で1週間程度早く始まっている。昨年の場合、2月23日がキャンプ初日で開幕が4月5日。今年は、開幕が4月3日と2日しか違わないのに、キャンプ初日は17日だった。そもそも長いキャンプを乗り切るとしたらそれなりに力の入れどころ、抜きどころを意識する必要があるが、ケガをしたことで図らずも調整ペースがスローダウン。スイッチを切り替えるまでもなく、そういう状況となっている。