履正社、日大三を倒した“したたかさ” 清宮から5三振の左腕・櫻井を打ち崩す
「なんとか崩せ」で逆転3ラン
5回表、1死二、三塁から1番・石田の3ランが飛び出す。これで履正社が4−2と逆転 【写真は共同】
履正社の岡田監督が言う。
「スライダーはボールになるから、低めは捨てろと指示しているのに、全然見極められない。“そんなに曲がるんか。なら打たれへんわ。でも、なんとか崩せ”と言うしかありませんでした(笑)」
なんとか、崩した。5回1死二、三塁から1番・石田龍史が、「とにかく犠牲フライを」とそのスライダーを叩くと、打球は伸びる、伸びる。バックスクリーン左に逆転3ランだ。
寺島仕込みの速球でエースが粘投
履正社のエース・竹田は初回に2点を失うも、粘りの投球を見せる 【写真は共同】
この試合では「毎日、日大三のビデオを見ていた。いい打線だし、いいチーム」(竹田)と意識しすぎたのか、きわどいコースを狙ってボールが先行し、初回に2失点。だが、ピンチをしのいでいくうちに、徐々に自分を取り戻す。球速は130キロ後半でも、要所でのスライダーを効果的に使い、同点に追いつかれた8回、なおも1死三塁のピンチには、「秋は隠していました(笑)」というフォークで1、2番をいずれも空振り三振。9回の集中打につなげている。
下位打線のしぶとさが伏線に
チームとしての方向性を徹底。履正社の打線はしたたかだ 【写真は共同】
「上位は三振を取り、下位は打たせて取る」のが櫻井の青写真だったが、履正社は7番以下が4安打5四球とチャンスメイク。そのうち6回ホームを踏んでいる。
岡田監督は言う。
「チームとしての方向性は徹底しますよ。このピッチャーはこう打とう、とかね。今日も、それぞれが打席の立ち位置を工夫したり、ノーステップで打ったりしていたと思います」
このしたたかさ――。岡田監督が「投打ともに非常にレベルの高いチーム」と評する難敵を倒し、履正社が念願の全国制覇に好発進した。