青木はイチローになれるのか――3連勝・日本の今後のカギを握る存在

中島大輔

ブルペンで特に好調な平野と千賀

ブルペンでの状態が良く、村田コーチから「安心して送り出せる」と言わしめる平野。2次ラウンドは8回からのセットアッパーとして期待される 【写真は共同】

 一方、投手陣は1次ラウンドの3試合で起用法が見えてきた。小久保監督自身、「しっかりとピッチャーがいい形になったのが一番の収穫」と話している。

 特に状態がいいのが、平野佳寿と千賀滉大だ。ブルペンを担当する村田善則バッテリーコーチは二人への信頼感を口にしている。

「平野にしても千賀にしても、真っすぐの球威があって、タテの変化で空振りを取れるといい結果が生まれやすい。いまのところ二人ともすごくいい状態を保ってくれているので、安心して送り出せる状態にあると思います」

 9回を牧田和久に任せ、そこまでどうつないでいくか。先発が5回までしか持たなかった場合、6回から千賀が2イニングを投げる。8回に登板するのは基本的に平野で、状態のいい宮西尚生と秋吉亮はイニング途中に球数制限に達した場合や、ピンチで送り出す。そこを基本線にしつつ、状況に応じて臨機応変の形をとれるか。相手打線を想定し、村田コーチは今後をこう見据えている。

「これからはレベルの高い選手がそろっているので、正直、そんなに完璧にはいかないと思います。どう粘り強くいって、どう切っていくか。2次ラウンドから先発の球数制限が80球に増えるからといって、投げてくれるイニングが増えるなんて初めから見ていません。球数を要したり、次のバッターを見て勝負したりというのが増えてくると思うので、冷静に対処していくしかない。1次ラウンドと同じような感じでどんどん勝負できるとは思っていないということです」

則本の起用方法がひとつのポイント

キューバ戦では3イニング目につかまった則本。彼の状態が今後の日本のカギを握るのは間違いない 【写真は共同】

 先発の状態が優れず、試合早々に交代することまで想定すると、ここから先の戦いでカギを握るのは則本昂大と増井浩俊の起用法だ。オランダ戦の先発は中4日の石川歩と予想されるなか、則本を第2先発として待機させるのか。あるいは14日のキューバ戦か、15日のイスラエル戦に先発させる手もあるが、7日のキューバ戦では3イニング目に捕まったように状態が気になる。

 仮に上向かなかった場合、あるいは先発に回すとき、第2先発として千賀とともに期待されるのが増井だ。中国戦では6回に登板して3者凡退に抑え、「ストライクゾーンで勝負しようと決めていたので、それができて良かったです。2次ラウンドに行くにあたって1度マウンドに行きたかったので、今日投げられたのは良かったと思います」と話した。第2先発の要員が二人はほしいと考えると、力の劣る中国戦とはいえ、増井の好投は好材料だった。

 3連勝といい形で1次ラウンドを終え、「世界一奪還」を目指す戦いは実質的にここからが本番だ。2次ラウンドからが一気に相手のレベルが上がってくる。侍ジャパンは全体的にコンディションが良く、起用法も固まってきた。頂点に向けて加速するには、戦力の上積みが求められる。打線では青木、投手陣では則本という投打の中心を担うべき二人がどこまでコンディションを高められるかが、今後の大きなポイントになりそうだ。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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