紫雷イオ、自らの10周年を白星で飾る 里村、岩谷、橋本が試合後に対戦要求

スポーツナビ

手加減なしのぶつかりあいも最後はムーンサルトで勝利

イオと里村の連携。橋本&岩谷というライバルになりえる存在の2人に力を見せつけた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 そしてこの日のメーンでは紫雷イオが、「どうしてもタッグを組みたい選手」として指名した里村明衣子と組み、「自分の120%を出せる選手」の岩谷麻優、昨年のプロレス大賞新人賞を獲得した橋本千紘の2人と激突した。

 先発は久しぶりの遭遇となるイオと橋本。グラウンドの攻防ではレスリング経験が上の橋本が上回るが、イオはドロップキックで橋本を突き放す。お互いがタッチして里村と岩谷が出てくると、里村は序盤から強烈な蹴り、払い腰、バックドロップと畳み掛ける。それでも岩谷もアームホイップで里村を投げる。

 イオと対峙した橋本は、スピアー、ムーンサルトアタック、ヒップアタックを繰り出していくと、俵投げからキャメルクラッチにとらえ、そこに岩谷が橋本をまねしヒップアタック。さらに岩谷はイオの髪をつかんでの攻撃と荒々しさも見せる。

 10分過ぎには里村のニールキック、バックドロップが岩谷にダメージを与える。さらに倒れている岩谷の上に、橋本をボディスラムでとらえて落とす。岩谷もトラースキック、フットスタンプで形勢逆転を狙うと、交代して入った橋本がラリアットでイオを一回転させ、得意の投げっぱなしジャーマンを決める。さらにムーンサルトアタック、岩谷のダイビングフットスタンプで窮地に立つが、ここは里村がカット。そこからイオのテキサスクローバーホールドと、里村のアンクルホールドが同時に決まる。そこから里村がデスバレーで岩谷を捕らえると、すかさずイオがムーンサルトプレスを決め、岩谷から3カウントを奪った。

「体が痛いけど、痛いのがプロレス」と充実感

20日の後楽園大会で赤いベルトを賭けて戦うことになったイオとカイリ。カイリはマイクで緊迫した雰囲気を解いた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合後、がっちりと握手した里村とイオ。イオがマイクを握ると、「さすがにこれだけやられたら体が痛いです。痛いけど10年の重みとか痛みとか、今日こうやってみんなから浴びせられました。でも痛いのがプロレス。順風満帆でここまできたわけでないので、これぐらいの痛みがいいと思っています」と、きつい試合ながらも充実感を得ていた。

 続けて橋本に対し「今日はノンタイトルのタッグ戦だったけど、次はお前が仙台のベルトを奪還した時に、何かしらのベルトを賭けてタイトルマッチをしましょう。それぐらいの実力を感じてしまいました」と伝える。次に岩谷には「やっぱり麻優は、私にとって、かけがえの無さ過ぎるライバル。これからも、潰すべき相手。何回も潰させてもらいます」とライバル関係を続けていくと話すと、タッグを組んだ里村には一言「今日は本当にありがとうございました」と伝えた。

 このイオのコメントに対し、里村も応じ「イオがデビューした2007年、この年は女子プロレスがどん底の時代でした。その時代にデビューして10年かけてここまで盛り返して、なんかちょっと感慨深いです。もっと良くしていこう。女子プロレスはもっと良くなりますよ。そのために、今日限りで組むのは終わり。今日限りでイオとスターダムは、私の敵です。これから負けないから」と宣戦布告。

 そして橋本も「紫雷イオ選手、次はシングルマッチで戦いたいです。そして紫雷イオじゃなくて、橋本千紘の時代が来ることを見せ付けてやりますよ」と、女子プロレス界のエースの座を奪うと宣言した。

 最後にマイクを握った岩谷は「紫雷イオ、10周年おめでとうございます。今日はおめでたい日。スターダムが旗揚げしてから、ずっとサンダーロックで組み続け、紫雷イオ、あんたは最高のタッグパートナーで、最高のライバルです。今日は負けちゃってまだまだ高い壁だけど、壁っていうのはぶっ壊すためにあるもの。必ず私はあなたが巻いている赤いベルトを取ります。ちゃんと防衛して、磨いておいてください。あんたから赤いベルトを取るのは私しかいない」とワールドスターダム王座への挑戦も表明。そして「今日は3カウント取られちゃったけど、……おめでとうございます」と挑発しようとするもいい言葉が出ず、思わずお祝いの言葉が出てしまい会場の笑いを誘った。

 3人からの挑戦表明とも取れるマイクから再びイオがマイクを握ると、「私にはまだ守らないといけないものがある。赤いベルトの防衛記録。次のV13の相手は……」とためると、リングに宝城カイリが登場。「3月20日、後楽園ホール、絶対に潰してやるからな。楽しみにしておけ。赤いベルトの価値を、お前に見せつけてやる」と次期挑戦者を直接指名した。

 これにカイリは「私はキャリアまだ5年。イオさんと比べたら半分。でもでもでもでも、このリングの上では、そんなの関係ねぇ! はい、おっぱっぴー!」と死語に近いギャグを持ち出し、イオをあ然とさせる。そして「私のプロレス愛、スターダム愛を賭けて、女のプライド、私は全部ベットしますよ!」とベルトへの挑戦に意気込んだ。

 カイリの不思議な言動で緊迫した雰囲気が解かれると、イオは参戦選手全員をリングに呼び出し、「最後ぐらいはハッピーエンドで終わりたい。10周年、ここまでやってこれたのはみなさんのおかげです。ありがとうございました」と感謝の気持ちを述べ、大会を締めた。

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