キューバ戦勝利も喜べない理由 ブルペンに明確な役割分担を――
緊張感のあるWBC初戦・キューバ戦に勝利した侍ジャパン。好スタートを切ったものの、世界一への課題も見えた一戦となった 【写真は共同】
「収穫はあるので、どうこう言われる筋合いはないかなと思っています」
この言葉こそ、3月7日、野球日本代表「侍ジャパン」が第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で迎えた幕開けを最も象徴しているように思えた。
地力の差が感じられた試合
内容的にも実りある試合だった。1回表のピンチをセカンド・菊池涼介の好守で切り抜け、直後に3番・青木宣親、4番・筒香嘉智の連打で先制。中盤に山田哲人、坂本勇人と主力のバットで勝ち越すと、指揮官がスタメンを悩んでいたというサードの松田宣浩が3ランをレフトスタンドに突き刺した。試合終盤にリードを詰められたとはいえ、キューバとの地力の差を感じられる試合だった。
だが、「世界一奪還」を掲げる侍ジャパンにとって、喜んでばかりはいられない。同時に、多くの課題も浮き彫りになった一戦だったからだ。
乱戦の分岐点となった7回
「シーズンと一緒でそんなこと(どれだけのイニングを投げるかということ)は考える必要ないし、自分は与えられたところで投げるだけです」
5、6回は6人を完璧に抑えながら、7回は打者6人に5本のヒットを浴びて3失点し、このイニングを投げ切れずに降板した。冒頭のコメントは、「2回を完璧に抑えながら3イニング目に打たれたのは中継ぎの難しさか」と質問したときの回答だ。則本は“収穫”として、試合に投げられたこととチームの勝利と答えている。
力勝負も選択できた則本の失点
2番手として登板した則本は5回と6回はともに3者凡退と完璧なピッチングを見せたが… 【写真は共同】
それでも5、6回は完璧に抑えた一方、7回は捕まった。
「厳しいところをカットされて、カウントが進んで、難しいところはありました。勝ち進んで行けばまた(キューバと)当たるかもしれないので、それは次回しっかり修正すればいいと思う。そこはピッチャーだけではなく、バッテリーでもう1度話し合ってやるべきだと思います」
7回表無死2、3塁で迎えた代打アービレイスに対し、フルカウントからの7、8球目はストレートを続けてファウルされた後、9球目の外角スライダーをセンター前にタイムリーとされた。ストレートで押し込んでいただけに、最後まで力勝負という選択肢もあったはずだ。
捕手の小林は単調なリードを反省
「途中から(変化球に)合い出したと思いました。点差が開いたときに、僕自身(のリード)が単調になった部分があるので、そこはしっかり反省していきたいと思います」
7回は則本の投げたい球と、捕手の要求が一致していなかった。キューバ戦ではリードを逃げ切れたから良かったものの、もっと強い相手との対戦を勝ち抜くには、バッテリーの意思を統一できるようにコミュニケーションを重ねていかなければならない。