阪神・板山、1軍定着そして定位置奪取へ 掛布の教えに金本流を上乗せして成長中

週刊ベースボールONLINE

偉大な打者たちの理論を吸収

ガムシャラにやりたい」と1軍定着を目指す板山 【写真=BBM】

 昨年オープン戦で結果が残せず、2軍に戻ったとき、掛布2軍監督から打撃フォームの指摘を受けた。打ちに行く際に踏み込んだ右足がピーンと伸び、ミートポイントが1点でしかつくれない、と。これだと1軍の変化球に対応できない。対応策として地面に対し平行に腰を回すことによって、バットスイングをレベル(平行に)スイングにすることを習得した。そして4月22日に1軍昇格。そこから次は金本監督の打撃理論を教わることになる。同じ左の大打者から教わった理論をうまく消化し、自分のモノにしようと試行錯誤を続けている。

「金本監督の言われるアドバイスは掛布さんの言っていることと同じだなあ、と思うことが多いんです。だから掛布さんに教わったことに、監督が言われることを上乗せしていこうと思っています。

 少し前の打席での映像を見ても『なんであのとき、こういう打撃をしてしまったんだろう』と以前は分からなかったことを感じるときがあって、お二人の考えを自分の中で消化して成長しているのかな、と思います。

 オフにはしっかりトレーニングもしましたし、食事に関してもしっかり考えて取りましたので、それだけでも打球の強さが変わりました。今オフは、広島のアスリートさん(トレーニングジム)へは1日行っただけで、あとは鳴尾浜の2軍の施設で計画を立て、しっかりやった自負はあります。それにプラスしてキャンプで監督やコーチに高いレベルでの技術を教わり、その技術も身に付きそうでやりがいを感じています」

「目標は心に秘めてやっていく」

外野手登録ながら身体能力の高さを買われ内野の守備にも挑戦 【写真=BBM】

 もともと打球の質はチームでも上位。磨けば光る原石として金本監督は板山の打撃を買っている。しかし、その打撃を生かすためにはいかんせん外野ではポジションがない。そこで高校時代に内野を守った経験と高い身体能力を買われ、内野ではセカンドやファーストでノックを受けている。練習試合でも途中からセカンドへ回り、きれいなゲッツーを決めるなど非凡な才能を発揮している。

「守備に関しても本当にいろいろと考えることがありますし、さまざまなポジションを守る難しさを感じるときがあります。本当は、どこか1つのポジションでレギュラーを取りたいと思っていますので、このままでいいのかなあ、と思うことも実際にあります。

 しかし、いろいろなところを守れるようになって、試合に出られるのであればそれはいいのかな、とも思います。今の僕の立場では、まず打撃で結果を残さないと1軍には残れない。だからポジションにこだわるのではなく、打撃を生かして試合に出ることをまずは優先しようと決めています。打撃で存在感を出し、首脳陣から『板山は必要だ』と思われる選手になりたいですね。それと当時に、どのポジションを守るにしても、高いレベルの守備をしないと試合には出られません。人よりやることは多いですが、そこは頑張らないとな、と思います」

 本音を言えば、バッティングに集中するために、外野一本で勝負したい気持ちがある。だが前述のように外野は大激戦となっている。現実問題として外野で一つだけ空いているレフトで、開幕スタメンをつかみ取れるかは、まだ分からない。そこには昨年球団新人安打記録を作り、新人王に輝いたライバル・高山がいる。彼もまた体が大きくなり、キャンプでも存在感を示している。

「実際に練習をしていく中で、自分自身で成長していると感じる部分はありますが、それ以上に周りのライバルが同じように、いやそれ以上にレベルアップしていると感じています。そういう選手たちの集まりですから、やらないと置いていかれるという感覚もあるんです。高山もお尻がメチャクチャ大きくなりましたしね。体もデカくなり、さらにすごい選手になっているので本当に負けられない、と思っています。もう『気持ちだけは負けないぞ』と。その心が折れたら完全に負けです。とにかく開幕までガムシャラにやりたいです。キャンプでの練習は、充実はしていますが、まったく満足はしてないです。

 まずは1軍定着をして、次にレギュラー定着を目指します。ただそれ以上の目標は高く持っています。しかしまだ言葉には出せません。心に秘めてやっていき、レギュラーをつかんだら言いたいと思います」

(取材・構成=椎屋博幸 写真=小山真司、早浪章弘)

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