侍Jの3連覇阻んだプエルトリコ 司令塔モリーナが今回は「最強」と豪語

丹羽政善

若手とベテランの理想的なミックス

今大会のプエルトリコ、得点力は参加国随一だ 【Getty Images】

 さて、日本に勝って決勝に進んだプエルトリコ。決勝では惜しくもドミニカ共和国に敗れたが、今回はどんな布陣で臨むのか。

 まず、これまでの中で、最高のメンバーがそろったのでは? と聞くと、それを否定しなかった。

「そうだね、これまでの中でも最強といっていい」

 特徴は、「若い選手とベテランが、理想的にミックスされていることだ」という。

 異論はない。

 モリーナもすでに34歳でベテランの域に入ったが、チームの精神的支柱のカルロス・ベルトラン(アストロズ)、ジャイアンツでワールドシリーズ制覇の経験があるアンヘル・パガン(FA)らに、ハビア・バイエス(カブス)、フランシスコ・リンドーア(インディアンズ)、カルロス・コレア(アストロズ)ら、将来の球界を担う若い選手が加わり、バランスに長ける。得点力に関しては、今回の参加国の中でも、一、二を争うのではないか。「ファンタジーベースボール」でそのままチームをつくりたいぐらいだ。

投手陣に不安も手応えあり?

 ただ、そうした一方で先発に不安があり、計算できるのはヘクター・サンティアゴ(ツインズ)だけ。その彼をどこで起用するのか難しいが、昨季の終盤にメッツで頭角を現したセス・ルーゴが面白い存在。スライダーはメジャー屈指の回転数を誇り、ジョーカー的な存在だ。

 中継ぎもやや層が薄いが、アレックス・クラウディオ(レンジャーズ)、ジオバニー・ソト(カブス傘下)らがいて、昨年、マリナーズのクローザーに成長したエドウィン・ディアズに上手くつなげられれば、勝ちが計算できる。

 特にディアズは、規格外。昨年6月に昇格すると、8月からクローザーを任され、18セーブをマークした。体の線が細いが、スムーズなフォームから100マイルの真っすぐを投げる。スライダーにもキレがあり、デビューから25回1/3イニングで50奪三振を記録すると、それは1893年以来の新人最速となった。

 また、昨季の奪三振率15.33は、年間記録としては歴代8位。三振を取れるという、クローザーとして理想的な素質を備えている。

 モリーナはそれでも、「ベネズエラ、ドミニカ共和国、米国、日本も本当にいいチームだ」と警戒を強め、今年こそは? との問いに、「それは分からない(笑)。WBCが始まらないと見えてこないものがある。相手も、自分たちも」と慎重だったが、笑みをのぞかせるあたり、手応えがあるのだろう。

 現実的な戦い方は、やや劣る投手陣をどこまで打線がカバーできるかだが、あわよくば、運を味方に付けたい。日本戦で手にしたような。

「一発勝負の大会では、大きな要素だからね」

 引き寄せるのも実力のうちだとしたら、彼らにはその資格がある。モリーナは司令塔として、その機を逃さない。

2/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント