宮崎合宿打ち上げの侍J、調整は順調? 状態良い投手陣に対し打線が気がかり

中島大輔

2人のエースが見せた対照的な動き

4日間の宮崎合宿を打ち上げた侍ジャパン・小久保監督 【写真は共同】

 野球日本代表「侍ジャパン」の宮崎合宿4日目の2月26日、投手陣が練習を行った木の花ドームで、二人のエースが対照的な動きを見せた。

 順調な調整ぶりを示したのが、2日前に続いてブルペン入りした則本昂大だ。力強いストレートを中心にスライダー、チェンジアップ、フォークを織り交ぜて35球を投げ込んだ。

「最初は(ボールを)引っかいていたけど、細かいコントロールをちゃんと修正できたと思います。自分だけでできることは(ここまでに)やってきたので、あとはキャッチャーとコミュニケーションをしっかりとることが一番大事だと思ってやっています」

 3月7日に初戦を迎えるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の12日前に合宿がスタートした今回、本番に向けての調整法は選手それぞれに委ねられた。初日に小久保裕紀監督が「連携プレーにしても、できる選手たちの集まりなので、(合宿では)確認程度という考えで集合時期を遅らせている」と話したように、チームとしての動きを確認するような練習は少なく、この4日間は個々が状態をどれだけ上げられるかが最大のテーマだった。

着実にコンディションを上げている則本 【写真は共同】

 そうした点を考えると、先発だけでなく状況次第ではリリーフとしてのフル回転も期待される則本が、着実にコンディションを上げてきているのは好材料と言える。先発が予定される28日の台湾プロ野球選抜戦は、則本にとって本番を想定したマウンドになりそうだ。

「球数を考えながらやっていければいいと思います。あとは(ボールや雰囲気などに)慣れるだけですね。実戦を積み重ねていかないと修正はできないと思うので、少ない実戦をしっかりやっていきたいと思います」

 もう一人のエース・菅野智之は、キャッチボールやランニングなど軽いメニューで終えた。巨人の春季キャンプ中の調整日程を考慮され、侍ジャパンでは合宿2日目を休養日に充てるなど、マイペースを貫いている。27日には福岡に移動する前の午前中、ブルペンに入る予定だ。

「シーズンと変わらない調整方法でやっていくと思います。(本番に向けて気持ちが)だんだん高まってきています。しっかり結果を残さないといけないので、みんなで力を合わせて頑張りたいと思います」

 全体練習を一人だけ休むのは、一般的な日本人の考え方からすればなかなか珍しい。そうしたスケジュールを堂々と組める点に、エースとしての頼もしさを感じさせられる。どこまでの状態に仕上がっているのか、実戦機会を楽しみに待ちたい。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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