【ボクシング】KO率97% 剛腕ワイルダーのV5戦 無敗の異色選手同士の世界ヘビー級王座戦

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37戦全勝の王者ワイルダーvs.19戦無敗のワシントン

19戦無敗ワシントンの挑戦を受けるWBC世界ヘビー級王者ワイルダー 【(c)NAOKI FUKUDA】

 37戦全勝(36KO)、KO率97パーセント超という驚異的なレコードを誇るWBC世界ヘビー級王者、デオンテイ・ワイルダー(31=米国)の5度目の防衛戦が25日(日本時間26日)、米国アラバマ州バーミンガムで行われる。挑戦者は同級8位のジェラルド・ワシントン(34=米国)。こちらも19戦18勝(12KO)1分と無敗だ。今回もワイルダーの豪腕が唸りをあげるのか、それとも大番狂わせが起こるのか。

ワイルダーの豪腕が唸りをあげるか、大番狂わせか

攻撃力や経験で勝るワイルダー有利は不動だが… 【(c)NAOKI FUKUDA】

 ワイルダーは十代のときにバスケットボールやフットボールで特別な才能を発揮していたが、難病の娘の医療費を稼ぐため仕事をかけ持ちしながらボクシングに転じたというエピソードを持つ。20歳になるころの話である。この格闘スポーツが性に合っていたのだろう、ワイルダーはわずか3年で08年北京五輪に出場し、91キロ以下のヘビー級で銅メダルを獲得してみせた。
 キャリアが浅く細身のためプロ転向後は慎重なマッチメークが施されたこともあり、デビューから32連続KO勝ちをマーク。しかも、すべて4ラウンド以内という速戦即決ぶりだった。33戦目で12回判定勝ちを収めWBC世界ヘビー級王座を獲得。連続KO勝ちは止まったが、代わりにベルトを腰に巻いた。以後、4度の防衛戦は9回KO、11回TKO、9回KO、8回終了TKOとすべて規定ラウンド内で終わらせ、試合ごとに経験値を上げている。

 一方、挑戦者のワシントンもスポーツ万能の異色選手だ。少年時代はテニスに興じ、18歳から4年ほど海軍のヘリコプター整備士を務めた経歴を持つ。そのあとで大学に行ってフットボール選手に転じて活躍。しかし、ケガのため大成はしなかった。12年7月、30歳のときにプロボクサーとしてデビューし、以来4年半に19戦して無敗をキープしている。
 17戦目で準世界ランカー級のアミール・マンスール(米国)と引き分け、昨年は世界挑戦経験者ふたりに8回判定、4回KOで勝っている。身長201センチ、リーチ211センチのワイルダーに対し、ワシントンも198センチ、208センチと見劣りしない体格を持ち、直近の試合では102.6キロのワイルダーよりも約8キロ重い110.5キロを計測している。

 12対1というオッズが出ているように、攻撃力や経験で勝るワイルダー有利は不動といえる。圧力をかけたうえで左ジャブから打ち下ろす右ストレートをヒットして序盤にけりをつけてしまう可能性もある。ワシントンが番狂わせを起こすとしたら、踏み込んで放つ右が当たったときだろう。無敗の異色選手同士の世界ヘビー級タイトルマッチに要注目だ。

Written by ボクシングライター原功

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