燕のタフネス右腕・秋吉は投げ続ける 侍でもヤクルトでも変わらぬ思考

週刊ベースボールONLINE

今季、プロ4年目を迎える秋吉。今やブルペンに欠かせぬ存在となっている 【写真=BBM】

 東京ヤクルトでは2年連続70試合登板。秋吉亮はブルペンに欠くべからざる存在となっている。中継ぎでも、クローザーでもいい。与えられた場所で右腕を振り続ける。その思考回路は侍ジャパンでも変わらない。

今は気にせず投げられるWBC球

昨年11月の強化試合で侍ジャパンに初選出。ここでの好投がWBCメンバー入りにつながった 【写真=BBM】

 大舞台登場が近づいている。それでも気負いはない。強化試合で見せた好投により、その株は急上昇した。いまや日本を代表するタフなリリーバー。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンの抑え候補と呼ばれる右腕は大一番を前に、マウンドで見せる動作と同様、淡々と準備を進めている。

──2月9日に侍ジャパンの小久保裕紀監督と権藤博投手コーチが視察する中でのブルペン入りとなりました。意識しましたか?

 いや、いつもどおりのピッチングを見てもらおうと。代表メンバーに選ばれているわけですし、アピールする時期は終わっているので。自分の今の状態を見てもらおうと思って投げていました。

──小久保監督は「今すぐゲームで投げられそう」と評価していましたが、個人的にはどんな言葉を掛けられましたか?

 いいピッチングをしていても、「自分の投球に酔いしれるな」ということは以前から言われますよね。いいときこそ、気を引き締めないと。

──ピッチャーとしては、WBC球への適応が一つのポイント。秋吉選手は相性がいいと言われています。
 いいですね。最初はちょっと滑ると思ったんですけど、使っているうちに何も感じなくなって。ブルペンでも普通に投げられるようになりました。

──このボールで注意すべき点とは?

 滑ると高めに抜ける球が多くなりますよね。いつもの日本の球と同じ感覚で投げていると高くなるので、甘く入ってしまう。だから少し前でリリースしなくちゃいけないとか、そういう部分は難しかったんですけど、今は気にせず投げられているので問題ないです。

中継ぎでも抑えでも自分の投球を――

──変化球で違いはありますか?

 日本のボールよりも曲がりが大きくなります。それは武器として使えますし、カットボールくらいの少しの曲がりも、WBC球では大きく曲がる。それも武器として使えるので。この2つは使い分けられるなと思います。変化球はこれまで、スライダーとチェンジアップの2つしかなかったけど、変化球を増やしていかないと、投球の幅も広がってこないので。カットボールは武器になってくれると思います。

──さらにシンカーも試したとか。

 まあ、チェンジアップですよね。チェンジアップとシンカーを混ぜたものをいろいろ試しています。下に落ちるボールもWBCで戦う上では大事になってくるでしょうし、このボールで投げると動いて落ちていくんです。日本のボールだとただ落ちるだけなんですけど、WBC球では揺れながら落ちていく。これも一つの武器となりそうです。

──ボール一つで、これだけの違いが出てくるのですね。

 普通に真っすぐを投げても、いわゆる真っスラ、スライドしたり。逆にシュートしたりするので注意が必要です。これからは真っすぐをしっかりと投げられるようにしていく必要がありますね。

──侍ジャパンでのご自身の役割を、どうとらえているのでしょうか。

 いろいろな人に聞かれるんですよね(笑)。「中継ぎと抑えだったらどっちがいい?」って。ポジションはまだ言われていないんですけど、どこで投げても、自分のピッチングをするだけですから。いつものピッチングをすればいい結果が出ると思っています。

──登板するのはいつも、勝負がかかった大事な場面。どんなメンタリティーでマウンドに上がっているのでしょうか。

 バッターを抑えることだけですよね。侍ジャパンでそれを変えるわけではなく、シーズン中と同じ気持ちでマウンドに上がりたい。バッターとの勝負なので、苦手なところをしっかりと突いて。

──当然、重圧もあるはずです。

 シーズン中は競っている試合、特に1点差なんかだと緊張しますけど、WBCでのそれは比じゃないでしょうね。緊張しながらでも、常に自分のピッチングができるようにしないと。それを乗り越えられれば、侍ジャパンの勝ちにもつながるでしょうから。

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