日本ハムの強さの源・国頭キャンプ、若手が育つ土壌を探る

ベースボール・タイムズ

個別練習、自主性を重視

ドラフト1位の堀は2軍キャンプでプロの世界へ踏み出した 【ベースボール・タイムズ】

 この環境に日本ハム球団の育成法が掛け合わされる。前出の球団OBは「日本ハムの2軍キャンプは投手陣の午後練習はほぼ個別練習。僕らの時代からそうでした」と指摘する。実際、取材日の練習メニューにも、午後のブロックには「コンディショニング」、「個人練習」と記されており、選手の自主性を重視にする体制が整っている。

 右も左も分からないはずのルーキー、堀と高山の2人も、ブルペンで入念にフォームチェックを行った後、コーチ陣としっかりコミュニケーションを取る姿が印象的。高山は言う。

「コーチの方々に投球フォームを修正されることは今のところありません。フォームに関してアドバイスされるのは、ちょっとした微調整くらい。僕は(高校時代に)腰を痛める前のフォームを理想にしていて、良かった時期の映像を見ながら理想に近づける作業をしています。今後のことは首脳陣の方々が考えてくださっていると思うので、そのプラン通りに進められるよう、まずはしっかりと体を作っていきたいです」

 首脳陣に全幅の信頼を寄せる。

ゆったりとした空気の中でじっくりと

 本拠地を北海道へ移した04年以降、5度のリーグ優勝に2度の日本一と、黄金期到来を予感させる日本ハム。決して潤沢な資金力があるわけではない中で“勝てるチーム”を作り上げる運営スタイルは、球界のモデルケースになりつつある。昨季の大逆転優勝の要因は多々あるが、その中で生え抜きの若手選手の成長が大きなウエートを占めたことは間違いない。

 その日本ハムには明確な育成プランが存在する。余剰戦力を持たないのが特徴で、ドラフトでも育成選手は取らず、近年スタンダードになりつつある外国人の大量保有もしない。その結果、昨季はイースタン・リーグで8人の若手野手が年間300打席以上を消化し、しっかりと経験値を積み重ねた。

 もちろん名護も環境面で優れたものがある。だが、国頭こそが若手の原点である。多くの若手がこの土地特有のゆったりとした空気の中で、じっくりと丁寧に育てられている。建て替えのため今キャンプ後に取り壊される1軍使用の名護市営球場に代わり、18、19年は、1軍の2次キャンプ地になることも発表されたばかり。来年はまた違った華やかさに彩られるだろう。

 確かにアクセスは悪い。ファンや報道陣にとっては少し面倒な場所ではある。だが、訪れて損はない。キャンプの在り方とは何か。日本ハムの強さの源を、肌で感じることができるだろう。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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