マンU出身スカウトがクリニックを開催 “米国経由、欧州行き”を目指す子供たち

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「テクニック×フィジカル」のクリニックを実施

マンチェスター・ユナイテッドのスカウトを務めるグローガン(右)。日本でクリニックを行う狙いとは? 【KEVIN GROGAN SOCCER】

 近年、バルセロナやアーセナル、インテルなどの海外名門クラブがスクールを開校したり、かつての名選手がクリニックを行うなど、日本の子供たちが世界のサッカーに触れる機会が増えている。3月には、変わった経歴を持つ「育成のスペシャリスト」が来日してクリニックを行う。小学3年生〜小学6年生を対象とした「Kevin Grogan × CREATIVE LABO クリニック」だ。

 元マンチェスター・ユナイテッドの選手で、UEFA(欧州サッカー連盟)A級ライセンスを持つケヴィン・グローガンが技術・戦術面を担当し、フィジカル・コンディショニングについては、東京ヴェルディなどJリーグ5クラブでフィジカルコーチやトレーナーを務めた関大悟が担当する。

 グローガンはけがの影響によりトップチームでの出場はならなかったものの、デイビット・ベッカムやライアン・ギグス、ポール・スコールズらとプレーした経験を持つ。現在はニューヨークを拠点に活動しており、マンチェスター・ユナイテッドのスカウトを務める。北米の将来有望な選手の発掘に加え、育成環境の改善やレベルアップを目指している。

 今回のクリニックで最優秀選手か優秀選手に選出されると、今夏にグローガンがニューヨークで主催するトレーニングキャンプに招待される。そこでさらに最優秀選手となると、マンチェスター・ユナイテッドのユースチームに練習参加する権利などが与えられるという。“米国経由ヨーロッパ行き”を掲げるクリニックの概要や参加者への期待、関と組んだ狙いなどをグローガンとクリニックを企画したKevin Grogan Soccerのコーディネーターである冨岡浩明に語ってもらった。

「世界を知る技術・戦術のスペシャリスト」と「育成年代に必要なフィジカルのプロフェッショナル」という新たな組み合わせは、どんな科学反応を起こそうとしているのだろうか。

「フィードバックシート」を使った継続的なサポート

 クリニックの大きな特徴となるのが「セルフラーニングシート」だ。参加者は事前に日々の練習に対する意識や目標、身長(両親を含む、 体重はなし)といったデータを送付しておく。クリニックでの評価はもちろん、具体的なトレーニング方法や身体についての専門的な評価をフィードバックするためだ。このシートを継続的に活用し、適切なトレーニングを繰り返せば能力が向上しやすいと考えており、クリニック受講から1〜2週間後には、2人から個別にフィードバックを受けることができる。

 例えば小学5年生が受講する場合、フィジカルについては1年から5年生までの身長推移(各年4月時点)、当日行ったテストのデータを分析する。その子が既に成長期を迎えているのか、普段の練習の負荷は最適なのかなどを判断して詳細なアドバイスを送る。

「日本でフィジカルというと『筋トレ』のイメージがあるかもしれませんが、クリニックでは切り返し動作の巧みさや、しなやかさを見ます。子供たちの身体発達は個々に異なりますし、晩熟の子が早熟の子と同じような負荷でやると負荷がかかりすぎてしまう。そこで、今回のクリニックではプロ選手から育成年代までを指導し、選手の成長サイクルや具体的なトレーニングを理解している関がフィジカル面でフィードバックをします」(冨岡)

 技術・戦術のアドバイスも同様だ。グローガンから見た長所と短所の分析結果を伝える際に、所属クラブや学校はどれくらいのレベルにあるのか。チーム内でポジションは確保できているのか。その子が将来どうなりたいのかなどを総合的に判断してフィードバックしていく。夏にニューヨークで行われるキャンプに参加できる人数はわずかだが、その他の子供たちにも長期的かつ専門的、そして継続的なサポートを実施する。

「夏にキャンプがあるから招待しますという単発的なクリニックに見えるかもしれません。ですが、成長プロセスがしっかり見えるように、私が監修しています。クリニックは年に2回(次回は冬の予定)開催しようと思っていて、2回目に来たときにどう変わったのかを私や関さんが判断する。結果は親御さんにもフィードバックして確認し、一緒に学んでいくプランを考えています」(グローガン)

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