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武藤嘉紀がエゴイスト宣言「ゴールが必要」
17年は地位を確立するための勝負の年

マインツがアウクスブルク戦で今年初勝利

マインツの武藤嘉紀が2月10日のアウクスブルク戦翌日、取材に応じてくれた
マインツの武藤嘉紀が2月10日のアウクスブルク戦翌日、取材に応じてくれた【元川悦子】

 宇佐美貴史との“プラチナ世代”(1992年生まれ)同士の対決となった現地時間2月10日のアウクスブルク戦。マインツの武藤嘉紀は後半戦初のベンチスタートを強いられた。2月4日のホッフェンハイム戦で0−4と大敗したのを受け、マルティン・シュミット監督は冬の移籍期間にストークから獲得したボージャン・クルキッチを初スタメンに抜てき。ジョン・コルドバとの2トップで勝負をかけたのだ。


 この采配は功を奏し、マインツは立ち上がりから優位に試合を進めた。ボージャンはバルセロナ仕込みの高度なテクニックを駆使して少し下がり目の位置でボールを落ち着かせつつ、リズムを作る。ユヌス・マリがボルフスブルクへ移籍したマインツにとって、彼の加入は攻撃の厚みをもたらす意味でプラスに働きそうだ。


 そんな中、マインツは前半31分にカウンターからレビン・ウツトゥナリが先制点をゲット。1−0で試合を折り返す。さらに後半17分にはコルドバが相手GKにペナルティーエリア内で倒されてPKを得る。これをハイロ・サンペリオが強引に奪い取って追加点を奪い、2017年ブンデスリーガ初勝利を引き寄せた。このエゴイストぶりをアップゾーンから見ていた武藤には思うところがあった様子だ。


「あの場面は本当はDFが蹴るはずだったのに、ハイロが自分で持っていってしまった。自分が取ったPKでもないのに、最終的にケンカに発展するようなことを平気でやる。それが外国人選手なんです。自分の結果を貪欲に追い求めるし、結果さえ残せば次のクラブに行ける。そういう世界ですからね」

ボージャンやエゴイストなチームメートとの競争

武藤は当面、コルドバのパートナーの座を、ボージャン(右)との間で競うことになる
武藤は当面、コルドバのパートナーの座を、ボージャン(右)との間で競うことになる【写真:アフロ】

 実際、武藤が15年の夏にマインツ入りしてからの1年半で、GKロリス・カリウスがリバプール、ユリアン・バウムガルトリンガーがレバークーゼンという具合に、主力級が次々と移籍してしまった。15−16シーズン前半にそろってゴールを量産し「M&Mコンビ」と指揮官に命名されたパートナーのマリも、この冬にチームを離れた。こうした中、負傷で長期にわたり戦線離脱を強いられていた武藤は目下、周囲との関係を再構築する必要に迫られている。シュミット監督の中で最重要FWはコルドバ。そのパートナーの座を、武藤はボージャンとの間で競うことになるのだ。


「ボージャンはタメを作るところがうまいですけれど、そこで感心している場合じゃない。とにかくボージャンにない良さを出せるようにするしかない。本当にどっちが先に(ゴールという)結果を出すかという勝負になってくる。自分とジョンが2人前にいてゴールに向かっていったら、相手DFもだいぶ怖いと思う。それに加えて、自分が一個下がって受けにいくといった、ボージャンみたいなプレーもやっていければまた幅が広がっていく。前に行くだけじゃなくて、時間を作って起点になることも見せていければいいかなと思います」と武藤は前向きに語った。


 とはいえ、今のマインツ攻撃陣はサンペリオのように「自分が、自分が」と前のめりになる選手が少なくない。アウクスブルク戦の翌11日に行われたユースとの20分ハーフの練習試合を見ても、その傾向が顕著に表れていた。


 武藤は21歳の長身FWアーロン・サイデルと2トップを組んだが、サイデルはボールを持ったら強引にドリブルでゴールへ突っ込んでいくばかりで、武藤にラストパスを送る気配は皆無だった。右MFに入ったパブロ・デ・ブラシスも同様で、強引に出ていってボールを失うミスを平気でする。ハーフタイムには武藤が語気を強めるシーンも見受けられた。


「あいつもすごいエゴイストだし、人のせいにするから『ふざけんな。お前のミスだろう』と言いました。そうしないと、ずっと言い訳をし続ける。もちろんいいやつもいますけれど、ホント、ここでは全員そうだと言っても過言ではないくらい(苦笑)。『うんうん』と言っていたらダメ。結果さえ出ればそいつが上になるし、誰も何も言ってこなくなる。だからこそ、今の自分にはゴールが必要なんですよ。


 ドルトムント戦(1月29日)のゴールが(オフサイドの判定で)なくなったのは正直、痛かったですね。あれが取れていれば全然、状況が違っていたから。終わったことを言うのはダメなことだけれど、どんな形でもいいから早く1点がほしい。今は強くそう思います」と彼は激しい感情を前面に押し出していた。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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