【新日本プロレス】IC王座V3の内藤がまさかのNJC出場へ立候補 IWGPジュニア初防衛のヒロムに田口が挑戦表明

高木裕美
 11日の新日本プロレス「THE NEW BEGINNING in OSAKA」大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)では、5大タイトルマッチなどが開催され、2週間前にはチケットが完売。超満員札止めとなる5466人を動員した。

 メインイベントのIWGPインターコンチネンタル選手権試合では、王者・内藤哲也がマイケル・エルガンを退け3度目の防衛に成功。35分を超える死闘を制した内藤は、昨年度覇者として、今年の春のナンバーワン決定戦「NEW JAPAN CUP2017」(3.11愛知県体育館開幕)出場を立候補した。

36分激闘の末、因縁のエルガンを返り討ち

 内藤とエルガンは昨年9.25神戸ワールド記念ホールで同王座をかけて対戦し、内藤が勝利。10.10両国ではタッグマッチながらエルガンが内藤からピンフォールを奪ったものの、内藤のドロップキックで左目眼窩底骨折の重傷を負い、11.5大阪でのリマッチのチャンスを失った。
 だが、長期欠場から復帰したエルガンは、1.5後楽園で再び内藤からバーニングハンマーで勝利。3カ月越しでようやく再挑戦の機会をつかんだ。

 大阪ならではのブーイングも起こる中、内藤はエルガンのパワー殺法に苦しめられながらも、古傷の左目を容赦なくかきむしり、徹底した左ヒザ攻めで崩しにかかる。
 エルガンも25分過ぎ、雪崩式ファルコンアローから後頭部にエルボーを突き刺し、目を見開くポーズから裏拳、コーナーマットへのパワーボム。さらに30分過ぎにはエプロンめがけてのパワーボムから鉄柵への投げ捨てパワーボム、そして必殺のエルガンボムを決めるも、それでもカウントは2。

 因縁のバーニングハンマーをデスティーノに切り返した内藤は、浴びせ蹴りを左目に突き刺すと、デスティーノでフィニッシュ。相手の技を全力で受けきった上で、さらに上を行ってみせた。

NJC前年覇者として今年もエントリー!

 試合後、全員がタイトルホルダーとなったロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)のメンバーと共に「次の大阪ビッグマッチ、大阪城ホール大会も我々LIJが熱くする」と宣言した内藤は、ベルトを天高く投げ捨て、置き去りにして退場。

 バックステージでは、「NJCに前年度覇者として今年もエントリーさせていただく。盛り上げたいならオレを使わない手はないだろ」と、本来はIC王者として挑戦を受ける側の立場であるにも関わらず、トーナメント出場を直訴。「今年もシステムの変更を提案する。しかるべき場所でしっかり発言するから、今のところはトランキーロ」と、トーナメント優勝者が挑戦したいタイトルを指名する従来の方式とは違う、“おもしろい提案”をすることを予告した。

ヒロムが宿敵ドラゴン・リーを退け初防衛

 セミファイナルでは、IWGPジュニアヘビー級新王者・高橋ヒロムが“宿敵”ドラゴン・リーを退け初防衛に成功。試合後、田口隆祐が「“セイシ”をかけた戦いをしたい」と次期挑戦者に名乗りを上げた。

 両者はメキシコでライバル関係にあり、ヒロムがカマイタチのリングネームだった昨年の1.24「FANTASTICA MANIA」後楽園大会でも名勝負を展開。この日も、互いの手の内を知り尽くした者同士のスリリングな攻防となった。

 昨年11月5日に“時限爆弾”として電撃登場した地に王者として凱旋したヒロムは、開始早々、場外への飛びつき式パワーボムでリーを脳天から花道に突き刺すと、リーもノータッチトペからのブレーンバスター3連発。10分過ぎにはヒロムがコーナーから捨て身のダイビングセントーン。さらに15分過ぎには、リーのマスクをはいでの雪崩式カサドーラボムであわやという場面を作るも、リーも得意技のデスヌカドーラでお返し。だが、ヒロムは昨年1月のフィニッシュホールドであったカナディアンデストロイヤーをカウント2で返されると、必殺技のTIME BOMBで勝負を決めた。

田口「もっともっとセイシをかけて戦いたい」

 熱戦の余韻も冷めぬ中、田口がリングに現れ、「すごい試合、感動したよ。もっともっとセイシをかけて戦いたい。このベルトとセイシをかけて試合をしてくれ」と、やたらとセイシ(生死?)を連呼しながら挑戦を志願すると、「やるのか、やらないのか、どっちか返事をしてくれないかな。五・七・五で」といきなりのムチャぶり。

 その直後に電光石火のオーマイ&ガーアンクルを仕掛けると、ヒロムは屈辱のタップ。再びマイクを握った田口は「ヒロム! いや、高橋ヒロム。いい返事待ってるよ」と王座挑戦へ自信を見せた。

 NEVER6人タッグ王座は失ったものの、「田口JAPAN」監督として迷采配を見せた田口の挑戦表明で、本隊対LIJの抗争にも新たなうねりが起きそうだ。

矢野組が3WAY戦を制しタッグV2

 3WAYマッチ形式で争われたIWGPタッグ選手権試合では、矢野通&石井智宏組が、2.5札幌に続きV2に成功した。この日は真壁刀義&本間朋晃組、飯塚高史&デイビーボーイ・スミスJr.組を迎え撃つも、真壁がまずは矢野を花道で奇襲攻撃。

 ランス・アーチャーの負傷欠場で急きょタイトル挑戦が決まった飯塚は、宿敵・野上慎平アナウンサーにも目をくれず、イスやタッチロープを使った反則攻撃オンパレードで本気度を見せ付けるも、矢野はそれを上回る反則を連発。

 秘密兵器のアイアンフィンガーフロムヘルを取り出した飯塚の同士打ちを誘い、不意を突かれたスミスを急所蹴りから丸め込んで3カウントを奪取。2本のタッグベルトを肩にかけた矢野はいつも以上のドヤ顔でYTRポーズを決めてみせた。

柴田がオスプレイをねじ伏せ王座防衛

 昨年11月にイギリスでブリティッシュヘビー級王者となった柴田勝頼は、ウィル・オスプレイの挑戦を退け防衛に成功した。

 母国イギリスへの王座返還を狙うオスプレイは、柴田のお株を奪う串刺し低空ドロップキックやリング上であぐらポーズを見せると、さらに鉄柱顔面キック、コークスクリューキック、リバースファイヤーバードスプラッシュという大技を繰り出し、オスカッターを狙うも、柴田がこれをスリーパーでキャッチすると、もがき苦しむオスプレイをスリーパースープレックスで脳天から突き刺し、PKでフィニッシュ。試合後はガッチリと握手をかわした。

LIJがリベンジを果たし6人タッグ返り咲き

 1.5後楽園のリマッチとなるNEVER無差別級6人タッグ選手権試合では、SANADA&EVIL&BUSHIのLIJが、棚橋弘至&中西学&田口隆祐の本隊トリオから王座を奪還。1.4東京ドームで戴冠しながら、わずか一日王者で赤っ恥をかかされたLIJがリベンジを果たした。

 田口JAPANは入場シーンから徹底的にLIJをおちょくり挑発してみせると、試合でも息の合った連係を披露。5分過ぎには、3人でのトリプル野人ダンス&ラリアットから中西がSANADAをアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げ、田口がBUSHIをオーマイ&ガーアンクル、棚橋がEVILをテキサスクローバーホールドでつかまえてアシスト。この絶好の勝機に中西がヘラクレスカッターを決めるも、レフェリー不在のためノーカウント。逆にBUSHIが中西の顔面に毒霧を噴射し、SANADAがSkull Endで逆転勝利を飾った。

タイチ&金丸が新技で王者組を撃破

 6日前の札幌大会でIWGPヘビー級王座をかけて激闘を繰り広げた“レインメーカー”オカダ・カズチカと鈴木軍・大将の鈴木みのるが6人タッグで対戦。みのるはガウンを着たままレインメーカーポーズを決めるオカダに奇襲攻撃を仕掛けると、札幌で徹底的に痛めつけた右ヒザへストンピング、鉄柵攻撃。オカダもドロップキックで反撃に出るが、やはり、足のダメージが大きく、いつもの威力が出せない。

 試合でも、鈴木軍のタイチ&金丸義信が新技のハイボールW(タイチのタイチ式ラストライド&金丸のディープインパクト)でロッキー・ロメロを粉砕。タイチは試合後もベルトでバレッタの顔面を殴打し、六本木ヴァイスの持つIWGPジュニアタッグ王座挑戦を高らかにアピールした。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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