ナダル有利の予想を跳ね返したフェデラー
史上2位の高齢戴冠も「来年また会おう」
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観客数は史上最高

フェデラーの5年ぶりのグランドスラム制覇で幕を閉じた今年の全豪。史上最高の観客動員数を記録した
フェデラーの5年ぶりのグランドスラム制覇で幕を閉じた今年の全豪。史上最高の観客動員数を記録した【写真:ロイター/アフロ】

 テニスの全豪オープン男子シングルス決勝が29日に行われ、第17シードのロジャー・フェデラー(スイス)が長年の宿敵ラファエル・ナダル(スペイン)との、3時間37分におよぶフルセットマッチを制して、全豪オープンでは7年ぶり5度目の優勝を飾った。フェデラーのグランドスラム優勝は2012年のウィンブルドン以来5年ぶりで、自身が持つ史上最多記録を更新し通算18回目。この決勝戦が全豪オープン100試合目にあたり、通算87勝13敗とした。35歳174日の優勝は1972年の全豪を制したケン・ローズウォール(オーストラリア)の37歳62日に次ぐ高齢での栄冠だった。


 昨年のウィンブルドンから故障のために半年間コートを離れていたフェデラー。一方のナダルも左手首の故障で10月には戦列を離れていた。過去10余年にわたりテニス界を支配し、三十路を越えた2人がよもや再びグランドスラムの決勝で対決するとは、誰が思っただろうか。2人の活躍で、第1シードのアンディ・マリー(イギリス)、6度優勝のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を早々に失いながらも、大会は72万8763人という史上最高の観客動員になった。


 トワイライトのセンターコートは、記者席までもが開始30分前には埋まり、歴史的な決勝戦はスタートから一打、一打、興奮の渦に巻き込まれた。戦前の優勝予想はナダル。これまでの対戦成績23勝11敗だけでなく、グリゴル・ディミトロフ(ブルガリア)との準決勝で片手打ちバックハンドへの強さをあらめて示していた。とはいえ年齢、経験、実績、どれをとっても予断を許さない。

ミスを重ねたフェデラー

ナダルとのラリー戦を嫌がったフェデラーは積極的なネットプレーを仕掛けたが、同時にミスも目立った
ナダルとのラリー戦を嫌がったフェデラーは積極的なネットプレーを仕掛けたが、同時にミスも目立った【写真:ロイター/アフロ】

 お互いにサービスゲームをキープして迎えた第1セットの第7ゲーム。15−15から、フェデラーが14本の長いラリーを制すなど虎の子のブレークを奪い先手を取った。しかし、会場はまだ波乱を予想していた。ここまで勝ち上がってきたナダルのミスのないショット、片手打ちのバックサイドにたたきこまれる強烈なスピンボールが徐々に勢いを見せていたからだ。第2セットは、ナダルがブレーク2度であっと言う間に4−0までリード。フェデラーのアンフォーストエラーが第1セットの7本から15本に増え(ナダルは6本、4本)、この傾向は試合が進むに従って深まったのは理由があっただろう。この日のフェデラーのファーストサーブにはさほど威力がなく、ナダルに有利な長いラリー戦に持ち込まれ、それを避けようと、セカンドサーブから強引なネットダッシュを試みては、ネットにかけたりパスを抜かれるシーンが増えていた。こうした流れのなかで、ナダルにしてみれば第3セットのわずかな躓き(つまずき)が惜しい。


 第3セットのナダルは、フェデラーのサーブで始まった第1ゲームで40−0から40−40まで追いつき、逆に3本のブレークを握った。しかし結局ゲームを落として一気に攻め落とす機会を逃すと、直後の第2ゲームを失っている。フェデラーが再びリードした第4セット、今度はナダルが1本もブレークポイントを与えずに奪い返しフルセットに持ち込んだ。第4セットまでの獲得ポイントは110ポイントずつの同数だったが、ナダルが後手になりながらも押し気味の印象を与えていたのはミスの数の差。そこまでのアンフォーストエラーはナダルの19に対しフェデラーは48だった。

5年ぶりのメジャー制覇でトップ10返り咲き

世界ランキングのトップ10に、フェデラーが帰ってくる
世界ランキングのトップ10に、フェデラーが帰ってくる【写真:ロイター/アフロ】

 2人が最後にグランドスラムの決勝で顔を合わせた11年の全仏オープンから6年近くが経ち、フェデラーは35歳、ナダルは30歳になった。年齢とともに体力は低下する。体力と精神力とは密接に結び付き、その点でも、ファイナルセットの行方はメンタルが武器のナダルに傾いていたように感じていた……。


 そんな予感のざわめきのなか、ナダルは第1ゲームから攻め込んだ。長い打ち合いに持ち込んで0−30からブレークに成功。続く第2ゲーム、反撃してきたフェデラーの3本のブレークポイントもかわしたが、それでもフェデラーは気落ちせず、最後まで攻め続けた。第6ゲーム、40−30とチャンスをつかむと、激しい攻防の末にブレークバック。続く第7ゲームをラブゲームでキープすると、むしろ、この辺からナダルの方に疲れが見えてきたようだ。


 フェデラーの準決勝は3日前、ナダルは前々日。これまで9年間のデータでは、回復時間の短い方が5勝4敗とわずかに有利と出ているが、データは参考にならない。


「5時間試合のリカバーは難しい。その点では問題はなかったけど、いつもよりは少し足が動かなかったように思う。何より、ロジャーが最後まで超アグレッシブで、なかなか思うようなプレーをさせてもらえなかった。僕も良いプレーはした。最後まで闘志を失わずにやれたと思う」(ナダル)


 第8ゲーム、フェデラーが40−0に追い込み、ナダルが40−40まで持ち込んでも、この日最も長い26本のラリーを制してブレークに成功。最後はフェデラーが2本のブレークバック・ポイントを凌いで、実に5年ぶりのメジャー優勝を手にした。


「ラファに勝てたことよりも、このオーストラリアでカムバックできたことがうれしい。(かつてのコーチでともにオーストラリア人の)ピーター・カーター、トニー・ローチにはいつも感謝しているからね。今日は、相手よりも自分のテニスに集中しようという姿勢だった。最後まで、勝てると思ってプレーすることができた。コートで『来年また会いましょう』と言ったのは、まだまだ自分の中にテニスの可能性が見えているから。来年、また来たい。それが今の夢だ」


 優勝賞金は370万オーストラリアドル(約3億1820万円)で、週明けに発表される世界ランクで、フェデラーは10位に返り咲き、ナダルは世界6位に上がる。


文:武田薫

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