17年センバツ出場32校の選考理由 その過程で感じられた改革とは
部員10人でセンバツ出場を決めた不来方 【写真は共同】
今回は特に注目の集まった選考について、見ていきたい。
21世紀枠:10人でも夢の甲子園へ
センバツ主催者である毎日新聞の渡会文化・専務取締役大阪本社代表は、「不来方は部員10人。選考過程の中でケガや病気で欠けたらどうするんだという意見は当然出ました。しかし私たちは、そういったリスクを、責任を持って引き受けて、10人でも夢の甲子園の舞台に立てるチャンスを与えるべきだという結論に至った。そして今、全国で少人数ながら頑張っている野球チームにエールを送りたい」と話した。
西日本は4校のうち比較的評価の高かった3校を中心に審議が進められ、最終的に中村(高知)を選出。午前の推薦理由説明会で、「昨夏の選手権大会では全国で唯一、高知県出身の子供だけが甲子園の土を踏めていません。県内強豪私立の存在が県立校の甲子園出場を阻んでいます。その中で夏の高知大会で準優勝、新チームとなった秋の県大会は私立のシード3校を破り、40年ぶりに優勝を果たした」と高知県高校野球連盟・山崎正明理事長のプレゼンテーションが実った形となった。
さらに21世紀枠特別選考委員からは、「不来方は少人数のチーム(部員10人と女子マネジャー3人)ゆえの良さがある。一人一人が自分自身のかけがえのないものと自覚している。中村は文武両道で地域(高知県西部の四万十市)に密着した学校。地域から高知市に進学する中学生も多い中、必死に取り組んでいる」との意見が出された。
残り7校から最後の1校を選ぶ作業は、東日本と西日本で評価が高かったものの選出に至らなかった4校を中心に検討。最終的に多数決の末、多治見が3校目として選ばれた。「文武両道で地域に根ざしており、熱い声援を受けている学校」といった意見が特別選考委員から挙がった。
関東・東京:限られた枠での苦悩
最後に両校を投攻守に渡って詳細に分析。磯部史雄・地区別小委員会委員長は、「総合力の慶応と投打に迫力のある日大三を推す意見が分かれた」と明かした上で、「日大三の櫻井周斗投手(2年)は1試合平均13三振を奪うなど、140キロ超の直球に縦のスライダーが一級品だった。決勝でも失点はしたが14三振を奪った。打線も東京大会で9本塁打を放つなど、優勝した早稲田実と力は双璧である」と迫力の日大三に軍配が上がった。
選考委員会後の記者会見ではラスト1枠についての質問も飛んだ。「慶応も凄く良いチームだったが、どちらか1校しか選べない」と限られた枠での苦悩をにじませた。