ナダルに戻った全盛期の集中力=全豪テニス 女子は30代中盤の3人がベスト4入り

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 全豪オープン10日目は25日、第9シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第3シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)をストレートで下し、優勝した2014年の全仏以来、グランドスラムでは11大会ぶりのベスト4進出を果たした。これで半年ぶりにツアー復帰したロジャー・フェデラー(スイス)に続き、黄金時代を築いた2人のカリスマが4強に残り、フェデラーは第11日にスイスの僚友スタン・ワウリンカと、ナダルは1日置いて、前哨戦のブリスベン国際で錦織圭(日清食品)らを倒して優勝している好調のグリゴル・ディミトロフ(ブルガリア)と決勝進出を懸けて対戦する。

ラリー戦に引きずり込んだナダル

グランドスラムでは11大会ぶりのベスト4進出を果たしたナダル 【Getty Images】

 ナダルが全盛期の集中力を発揮し、次世代の旗頭ラオニッチに立ち向かった。ビッグサーブを武器とするラオニッチは、立ち上がりから爆弾を放り込んできた。第1セットのファーストサーブの平均時速は206キロ。ブリスベン国際でもラオニッチと対戦し、そのときは逆転負けを喫しているナダルは、これまでよりベースライン近くに構え、深いリターンで押し込んではラリー戦に引きずり込んだ。ラリーが長引けば、ナダル有利。左右に振り、ラオニッチがネットに出て来るや絶妙なパッシングを見せた。ポイント数で押しつつも五分で迎えた第7ゲーム、勝負に出た。2本のパッシングショットをダウンザラインに、さらにクロスコートにも通し、最後はロブを放り上げて虎の子のブレークに成功、先手を奪ったのが大きかった。

 ラオニッチにも、第2セットには大きなチャンスがあった。ともにブレークポイントがないままサービスキープで進んだ第10ゲーム、ナダルのサーブ。ラオニッチは3本のセットポイントをつかんだが、あと1本届かずタイブレークへ。ここでも先に3本のセットポイントがあったのだが、2本目に痛恨のダブルフォルトを犯し、逆にナダルに最初のセットポイントを決められた。

「試合前にコーチたちと話し、ベースラインから6、7メートル離れて立ち、それも状況を見て変えようと思った。ラオニッチにプレッシャーがかかっていると判断し、前で構えたのがよかった。でも、出たとこ勝負。いいパスが何本か出たが、あれはいい時に出るんだ」(ナダル)

 ラオニッチは大会に入ってから風邪をひき、第2セットの途中ではタイムアウトをとって内転筋の手当てを受けている。いずれもプレーに影響はなかったと言うが、グランドスラムの長丁場では、蟻(あり)の一穴が勝負を決める。

日本ペアは史上初の快挙にあと一歩届かず

穂積絵莉(左)と加藤未唯組は昨年の全米覇者と熱戦を繰り広げたが、わずかに力及ばなかった 【Getty Images】

 女子シングルスでは34歳のノーシード、ミリヤナ・ルチッチバロニ(クロアチア)が4大大会では1999年のウィンブルドン以来、18年ぶりにベスト4進出を決めた。ルチッチバロニは全豪オープンで1勝を挙げたのも98年以来19年ぶりと、復活ドラマを見せている。準決勝の相手は通算23度目のメジャー制覇を狙う35歳のセリーナ・ウィリアムズ(米国)。前日に勝ち進んでいるビーナス・ウィリアムズ(米国/36歳)を含め、女子はベスト4のうち3人が30代の中盤という、クラシックな結末になってきた。

 また、女子ダブルス準決勝に進んだ穂積絵莉(橋本総業)、加藤未唯(佐川印刷)のペアは、勝てば日本人ペアとしては史上初のグランドスラム決勝進出だったが、第2シードのベサニー・マテックサンズ(米国)/ルーシー・サファロバ(チェコ)組にフルセットの末に敗れた。

 グランドスラム2年目の日本人ペアには難敵だった。マテックサンズはダブルスの世界ランキング1位で、サファロバとのペアで昨年の全米オープンも制しているスペシャリスト。だが、穂積と加藤は最後まで挑戦した。第1セットこそ2−6とあっさり奪われたが、第2セットは相手の穴をうまく突いた。ミス連発のサファロバを攻め、穂積が持ち前のパワーで揺さぶって加藤が勝負所を抑え第2セットを奪う。ファイナルセットの第1ゲーム、サファロバのサーブをブレークする展開に相手も浮き足立つ。日本ペアは、第2ゲームをブレークバックされ、第6ゲーム、疲れが見える加藤のサービスゲームをブレークされて先行されたものの、すぐに第7ゲームをブレークバック。4−4とした後の第9ゲームが惜しかった。30−40のブレークポイントで、サファロバのバックハンドがネットにかかりながら、コードボールでインに。2本のブレークポイントを逃すと、続く第10ゲームをラブゲームで落とし、ゲームセット。史上初の快挙まであとほんのわずか、届かなかった。

文:武田薫
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