フェデラー快勝、相手も脱帽する強さ 「プレーさせてもらえなかった」

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サーブ・アンド・ボレーで相手を攻略

フェデラー(右)は、マリーを破ったズベレフ兄を寄せつけず。快勝で2年連続のベスト4進出を決めた 【写真:ロイター/アフロ】

 いよいよ大会は終盤戦に入り、全豪オープンテニス第9日は男女シングルスの準々決勝2試合ずつなどが行われた。男子ではロジャー・フェデラー(スイス)が2年連続通算13回目のベスト4を決め、準決勝では、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)を倒した同じスイスのスタン・ワウリンカと対戦することになった。女子では、36歳のビーナス・ウィリアムズ(米国)がアナスタシア・パブリュチェンコワ(ロシア)とのパワー勝負を制し、全豪では2003年以来、実に14年ぶりにベスト4進出を決めた。次戦の相手は、第7シードのガルビネ・ムグルサ(スペイン)を破ってグランドスラム初の4強入りのココ・バンダウェイで、米国勢同士の対戦になる。

 フェデラーの勢いが止まらない。半年ぶりにツアー復帰した35歳のカリスマは、難関だった錦織圭(日清食品)を4回戦で倒して自信を取り戻したようだ。この日の相手は、第1シードのアンディ・マリー(イギリス)を破ったミーシャ・ズベレフ(ドイツ)。話題の新鋭アレキサンダー・ズベレフ(ドイツ)の10歳年上の兄で、マリー戦では、最近では珍しくなったサーブ・アンド・ボレーを使って攻略に成功した。この日も第1セットから、果敢にネットに飛び出した。

 サーブ・アンド・ボレーは、強烈なサーブで相手を押し込んでネットに飛び出し、返って来たリターンをボレーでたたく攻撃的な戦法。芝やハードコートの速いコートサーフェスでサーブ力が生きるため、1980年代のジョン・マッケンロー、マルチナ・ナブラチロワ(共に米国)がこの戦法で活躍した。90年代後半からパワーヒッターの出現とコートサーフェスが遅くなったため、あまり見られなくなった。マレーを攻略したズベレフ兄だが、フェデラーには全く通用しなかった。

わずか19分で第1セットを奪う

今では珍しいサーブ・アンド・ボレーで相手を攻略するなど、ベテランの味を見せた 【写真:ロイター/アフロ】

 ネットダッシュをかけるたび、フェデラーが右に左に自在にパスを抜き、あるいはロブを打ち上げてボレーまでさせてくれない。第1セット、ズベレフ兄はサーブ・アンド・ボレーを16度試みて成功は6回だけ。フェデラーはこのセットだけで18本のウィナーを決め、わずか19分、6−1で先手を奪った。

「ロジャーにプレーさせてもらえなかったよ。アンディと違って、ロジャーはショットのオプションが多く、どこにリターンしてくるか全く読めなかった」

 35歳のフェデラーは、もともとサーブ・アンド・ボレーの選手だった。3本のラリーで決着する速い試合にも慣れており、対応する手段を持っている。1ブレークずつ互角で進んだ第2セットも、フェデラーは冷静に打ち合い、第11ゲームをブレークして7−5で制すと、第3セットも6−2で奪い、ストレート勝ちを収めた。

「サーブ・アンド・ボレーは今では珍しいから嫌がる選手が多い。でも、僕は何ともない。ボレーを決められても、普通にナイスプレーと思うだけで、気持ちを切り替えられる。イライラはしないで、次に進める」

 15年ほど前までの速いサーフェス時代に育った影響だとすれば、34歳のミリヤナ・ルチッチバロニ(クロアチア)、35歳のセリーナ・ウィリアムズ(米国)ら、女子で30歳代のベテラン3人が勝ち残っていることも納得できるのではないか。

 なお、女子ダブルスで唯一勝ち残っている日本人ペア、穂積絵莉(橋本総業)、加藤未唯(佐川印刷)組がルチッチバロニ、アンドレア・ペトコビッチ(ドイツ)組に6−3、6−3でストレート勝ちして、日本人同士のペアとしては全豪オープンでは初のベスト4に進出している。準決勝では、第2シードのベサニー・マテックサンズ(米国)、ルーシー・サファロバ(チェコ)のペアと対戦。これまで全豪の女子ダブルスでは、1978年に佐藤直子が、2009年には杉山愛が、ともに外国選手とのペアで決勝まで進み準優勝している。

文:武田薫

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