強肩捕手に届いた有資格1年目での吉報 がに股打法の強打者も米国野球殿堂入り

菊田康彦

盗塁阻止率4割5分以上の強肩

類まれな強肩と強打で活躍したイバン・ロドリゲス 【写真:ロイター/アフロ】

 サクラサク──。桜の開花にはまだだいぶ早いこの時期、3人の偉大な元メジャーリーガーのもとに吉報が届いた。ジェフ・バグウェル、ティム・レインズ、そしてイバン・ロドリゲスの3人が、新たに栄えある米国野球殿堂のメンバーに加わることが決まった。

 なかでも特筆すべきは、有資格1年目にしてその栄誉に浴したイバン・ロドリゲスだろう。規定の75%をわずかに超える76.0%の得票率というギリギリでの“当選”ではあったが、有資格1年目での殿堂入りは、「史上最高のキャッチャー」とうたわれたジョニー・ベンチ(元レッズ、1989年殿堂入り)に次いで、捕手としては2人目の快挙である。

 いかにもキャッチャーらしいその体型から「パッジ(ずんぐりした人、の意)」と呼ばれたロドリゲスの名声を確立したのは、その類いまれな強肩だ。通算の盗塁阻止率はなんと4割5分7厘。2001年の6割3厘を筆頭に、盗塁阻止率5割を超えること実に8回(規定試合以上のシーズンのみ)。デビュー2年目からの10年連続を含め、ゴールドグラブ賞受賞13回はベンチの10回をしのぎ、捕手では史上最多となっている。

捕手最多の通算2749安打

 デビュー当時からしばしば「ベンチの再来」と呼ばれてきたロドリゲスだが、“先代”と同様に守るだけの選手ではなかった。シルバースラッガー賞受賞は、昨年殿堂入りしたマイク・ピアッツァ(元ドジャースほか)に次いで、捕手としては歴代2位の7回。99年には捕手ながら主に2番を打ち、打率3割3分2厘、35本塁打、113打点、25盗塁の好成績で、アメリカン・リーグのMVPにも輝いた。

 03年にはマーリンズへ移籍し、メジャー1年目の松井秀喜を擁するヤンキースをワールドシリーズで破って念願の“世界一”。その後は5球団を渡り歩きながら11年まで現役を続け、メジャー実働21年で通算2543試合出場、2844安打、311本塁打、1332打点、打率2割9分6厘を記録した。うち捕手としての2377試合、2749安打は、ともにメジャーリーグ史上最多である。

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著者プロフィール

静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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