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1年生司令塔が感じたV8帝京大との差
“絶対王者”に届かなかった東海大

兄が率いる京産大、関西の雄・同志社大に大勝

東海大・木村監督は眞野の起用について「自信を持って任せた」と語る
東海大・木村監督は眞野の起用について「自信を持って任せた」と語る【斉藤健仁】

 眞野はジュニア選手権の決勝などで経験を積み、12月から始まった今年度の大学選手権から、1年生ながら「10番」を背負う。Aチームとしての初戦は準々決勝の、兄・拓也が主将を務める京都産業大戦だった。東海大の木村季由監督が「まだまだ。周りの選手がサポートしないといけない」と注文はつけたが、眞野は無難にプレーし、71対12の勝利に貢献。続く準決勝の同志社大戦も74対12で勝利、決勝に進出した。


 決勝でもSO眞野は先発に名を連ねた。その意図を木村監督が「彼の良さを一番に考えた。ここに来てアタックでもいい動きを見せるようになったので自信を持って任せた」と言えば、眞野本人は「ディフェンスを評価されて選ばれたと思うのでしっかりやろう、と。ただ(花園と比べて)ポジションも会場も違うのでまったく違う風景だった」。


 それでも眞野は緊張や重圧を感じさせず、タックルで相手の大型選手を止め、SOとしてもパスだけでなく、キックも使ってチームを前に出した。「(コーチ陣からは)いつも通りと言われていました。周りの声を聞きつつ、ロングキッカーのFB(野口)竜司さんもいたのでコントロールに専念し、自分が行くよりもパスで味方を生かしていこうと思っていた」と振り返る。

日本代表経験がある帝京大SO松田との対決

帝京大SO松田については「見習っていきたい」と語った眞野
帝京大SO松田については「見習っていきたい」と語った眞野【斉藤健仁】

 ただ眞野が悔やむワンプレーがあった。後半13分、5点をリードする中で、タタフがジャッカルを成功させた後のペナルティーキックだった。眞野は、距離を稼ごうとするあまり、タッチに蹴ることができず、相手ボールでプレーは継続。その後、すぐに同点に追いつかれたことを考えると東海大にとってはもったいないプレーだったことは否めない。「ディフェンスで粘ったところで絶対タッチに蹴らないといけなかった。自分のミスで相手に流れがいってしまった」(SO眞野)


 この試合で出色の出来を見せた帝京大SO松田とマッチアップして、眞野が個人としてもチームとしても劣っていたと感じるのは、中盤での攻防だった。「エリア取りやランで仕掛けるプレーがうまかったので(松田さんを)見習っていきたい。中盤からもう一歩前に出たかったが、みんなの意思統一ができていなくて、攻めても何度もミスしてしまった。敵陣に入って、自分たちの強みであるディフェンスができれば良かった」(SO眞野)


 特にハーフウェイライン前後は、パスもランもキックもでき、選択、判断が難しいエリア。東海大としては、そこでの攻防はやや相手の後手を踏んだ。午前中は雨が降ってぬかるんでいたピッチ状況もあり、自分たちの強みを考慮すれば、帝京大よろしく、もう少しシンプルにキックを使っても良かったのかもしれない。

「隙」を見逃さなかった帝京大

後半28分にトライを挙げた帝京大・竹山
後半28分にトライを挙げた帝京大・竹山【赤坂直人/スポーツナビ】

 最後、同時優勝の可能性もあったが、ラックのボールを蹴ってしまい、そのまま26対33でノーサイド。3度目の正直はならず。帝京大との差を木村監督は「隙を見せたら一気に畳みかけられる。そういったところを見逃さない集中力」と言えば、SO眞野は「相手ペースになったときに脱出できなかった。いいゲームはできたが、スコアを含めて、勝ち切れなかった」と淡々と答えながらも、悔しさを露わにしていた。


 東海大はスクラムで相手を圧倒し、フィジカルやブレイクダウンでは互角に戦って、あと一歩のところまで帝京大を追い詰めた。先発の半数以上は、3年生以下であり、戦力は十分。帝京大の9連覇を阻止する急先鋒になることは明らかである。


 後半28分、相手が挙げたトライの微妙な判定に関しても木村監督は、「(レフリーが)トライと言うのであればトライ」と毅然とした態度を取り、「東海大はこれからも歩みを続けていく」と前を向いた。

「リードできる選手になって、来年は優勝したい」

健闘をたたえ合う両チーム。東海大の挑戦は続く
健闘をたたえ合う両チーム。東海大の挑戦は続く【斉藤健仁】

 1年生ながら大舞台を経験したSO眞野は「自分がまだまだ足らないとわかったので基本プレーの精度を上げて、ランで仕掛けるプレーなどを覚えて、リードできる選手になっていきたい。来年は優勝したい」と意気込んだ。

 来年度こそは――そう強く感じさせる東海大、そして、1年生司令塔のパフォーマンスだった。

斉藤健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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