1年生司令塔が感じたV8帝京大との差 “絶対王者”に届かなかった東海大
兄が率いる京産大、関西の雄・同志社大に大勝
東海大・木村監督は眞野の起用について「自信を持って任せた」と語る 【斉藤健仁】
決勝でもSO眞野は先発に名を連ねた。その意図を木村監督が「彼の良さを一番に考えた。ここに来てアタックでもいい動きを見せるようになったので自信を持って任せた」と言えば、眞野本人は「ディフェンスを評価されて選ばれたと思うのでしっかりやろう、と。ただ(花園と比べて)ポジションも会場も違うのでまったく違う風景だった」。
それでも眞野は緊張や重圧を感じさせず、タックルで相手の大型選手を止め、SOとしてもパスだけでなく、キックも使ってチームを前に出した。「(コーチ陣からは)いつも通りと言われていました。周りの声を聞きつつ、ロングキッカーのFB(野口)竜司さんもいたのでコントロールに専念し、自分が行くよりもパスで味方を生かしていこうと思っていた」と振り返る。
日本代表経験がある帝京大SO松田との対決
帝京大SO松田については「見習っていきたい」と語った眞野 【斉藤健仁】
この試合で出色の出来を見せた帝京大SO松田とマッチアップして、眞野が個人としてもチームとしても劣っていたと感じるのは、中盤での攻防だった。「エリア取りやランで仕掛けるプレーがうまかったので(松田さんを)見習っていきたい。中盤からもう一歩前に出たかったが、みんなの意思統一ができていなくて、攻めても何度もミスしてしまった。敵陣に入って、自分たちの強みであるディフェンスができれば良かった」(SO眞野)
特にハーフウェイライン前後は、パスもランもキックもでき、選択、判断が難しいエリア。東海大としては、そこでの攻防はやや相手の後手を踏んだ。午前中は雨が降ってぬかるんでいたピッチ状況もあり、自分たちの強みを考慮すれば、帝京大よろしく、もう少しシンプルにキックを使っても良かったのかもしれない。
「隙」を見逃さなかった帝京大
後半28分にトライを挙げた帝京大・竹山 【赤坂直人/スポーツナビ】
東海大はスクラムで相手を圧倒し、フィジカルやブレイクダウンでは互角に戦って、あと一歩のところまで帝京大を追い詰めた。先発の半数以上は、3年生以下であり、戦力は十分。帝京大の9連覇を阻止する急先鋒になることは明らかである。
後半28分、相手が挙げたトライの微妙な判定に関しても木村監督は、「(レフリーが)トライと言うのであればトライ」と毅然とした態度を取り、「東海大はこれからも歩みを続けていく」と前を向いた。
「リードできる選手になって、来年は優勝したい」
健闘をたたえ合う両チーム。東海大の挑戦は続く 【斉藤健仁】
来年度こそは――そう強く感じさせる東海大、そして、1年生司令塔のパフォーマンスだった。