【新日本プロレス】内藤哲也のIC王座に挑む棚橋弘至 17年は「ニュー棚橋でテッペン取る」

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「棚橋は脱いでなんぼなんですよ!」

オメガの持つIC王座に挑戦が決まっていたが、ケガのために流れてしまった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

――さて、ここまではポジティブな話を中心に聞きました。一方で棚橋選手としてはドームでオカダ選手に敗れて以降、思うような結果をリングで残せていない部分もありました。欠場に追い込まれるケガもありました。

(ケガがあっても)いつでも巻き返せるという自信がありました。でも今考えると、その自信は驕りでしかなかったですね。オカダの安定感、ケニーと内藤の台頭は予測しえなかったです。15年は棚橋、中邑、オカダ、AJがトップ4で、それが棚橋、オカダ、ケニー、内藤になって4人のうち2人が変わりました。

――オメガ選手と内藤選手の台頭が予想外だったと?

 予想しえなかったですね。本当に「新日本の流れ、速いな」と。今この4人に順位をつけるなら僕が4番手。Jリーグなら入れ替え戦の位置にいるような立場かもしれないです。もしかしたらNEVERのベルトを持っている柴田(勝頼)さんが、この後IWGPに絡むようなら、ファンにとってはもう入れ替わっているかもしれません。

――危機感は?

 うーん……、感じますね。肩と上腕二頭筋の断裂で休んだのですが、思った以上に膝も良くなくて。だからイメージ通り動けなかった部分もありました。頭の中の棚橋の動きと、実際に動けている部分のズレが埋まらなかった部分もありました。そう考えると今年1年、リング上の表情が暗かったですよね。元気しか取りえがないのに。

 でも元気がなかったメカニズムも解明し、解決済みなんですよ。

――そのメカニズムとは?

 メンタルです。人間ってストレスを感じると、何かでストレスを解消する方法に出るんです。僕にとってのストレス解消が食べることだったと。
 その前に、棚橋が何にストレスを感じるかと言うと、「人前で裸になれないこと」がストレスなんです。何故脱げないかというと、ケガでトレーニング頻度が落ちて、体が少ししぼんでしまい、だらしなくなってしまう。体がだらしないとストレスを感じ、食べてしまう。するとさらにだらしない体になるという完全に負のサイクルに入ってしまって抜け出せなかったんです。

 ただ今はちょっとずつ人前で脱げる体に戻ったので、これはいい方向かなと。最近はいろいろな目があってイベントで脱がなくなってたんですけど、棚橋は脱いでなんぼなんですよ!
 40代になって年齢と共に代謝が落ちて、おなか周りがだらしなくなりがちなんですが、でもオレぐらいの年齢はみんなそうなので。だから40代の新しいアイコンになって「40代でもこうなれますよ」と示していくというのも、新たなモチベーションの1つです。

40代になって“制御可能”な男に

東京ドームで戦うため、内藤への挑戦を決めたと話す 【写真:前島康人】

――16年の問題点が明確になった中で、17年一発目に対戦するのがプロレス大賞MVPを獲得した内藤選手。まず内藤選手のMVP受賞に関しては?

 納得です。プロレス大賞でしょ? 僕はプロレスの話題を振りまけなかったので、プロレス界の話題だと内藤とケニーしかいないです。ケニーでも良かったなと思ってます。
 まあMVPを取るということは何かしらのムーブメントを起こしたということ。そういう意味ではバレットクラブを引き継いだケニーより、ロス・インゴ(ベルナブレス・デ・ハポン)を軌道に乗せた内藤がふさわしいのかなと思います。

――内藤選手の活躍は認めていると?

 認めますよ。「来たか」と。ただ、「遅えよ」と思いますけどね。

――そんな内藤選手への挑戦は棚橋選手から名乗りを挙げましたが、ICのベルトを狙いたかったのでしょうか? それとも内藤哲也選手を潰したかった?

 むしろ東京ドームに合わせました。ドームで試合を組まれるためにはそこしかなかった。IWGPがオカダとケニーに決まったので、ピンポイントでそこしかないと。

――IC戦決定の際には、14年のドーム大会の時のように、ファン投票でメインのカードを決めるという話題も上がりましたが?

 どうしてもメインに出たいなという思いはありました。7年連続ですから。それぐらいエゴイスティックな棚橋でも良かったかも知れないですけど、何か違うなと。

――その会見では内藤選手がメインに関する持論を展開し、プロレスファンの間では「内藤が正論」という雰囲気にもなりました。

「(ファン投票を)棚橋のわがままでやるんだったらやれよ」と言われたら、それは正論に聞こえますよね。本当はギリギリまで考えたんですけど、今回は違うなと。40代を迎えて、棚橋は少し大人になったんです。“制御可能”になったんですよ(笑)。

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