優勝は市船、青森山田、東福岡の争いか? 第95回高校サッカー選手権を展望する

平野貴也

市立船橋の初戦は岩崎を擁する京都橘

市立船橋は初戦でU−19日本代表FW岩崎を擁する京都橘と対戦 【写真は共同】

 もちろん「死のブロック」以外にも、優勝候補を倒す可能性を持つチームは多くある。例えば、市立船橋が初戦で迎える難敵は、U−19日本代表で京都サンガF.C.への加入が内定している今大会ナンバーワンFW岩崎悠人を擁する京都橘(京都)だ。市立船橋が優位に立つ展開が予想されるが、スピードとパワーを兼ね備える岩崎がカウンターからゴールを奪って京都橘が勝利するシナリオも描けないわけではない。

 勝者は、一昨年の準優勝校である前橋育英(群馬)と対戦する可能性があり、序盤からし烈な争いとなる。また、前回大会で優勝した東福岡と互角に渡り合った駒澤大高(東京A)も有力校に挙げられる。昨年の経験者がほとんど残っており、特に空中戦の強さやスピードとパワーを兼ね備えた最終ラインは攻撃力も豊かでチームの特徴となっている。また、鹿島学園(茨城)は上田綺世、米子北(鳥取)は伊藤龍生と、ともに身長180センチを超える大型ストライカーを擁しており、ダークホースとしての魅力を持っている。

 プロ入り内定選手は上記ですべて紹介したが、ブレイク必至の下級生を抱えるチームもある。2009年度の覇者、山梨学院(山梨)は大柄で空中戦に強い2年生のU−16日本代表FW加藤拓己が圧倒的な存在感を示す。海星(三重)の2年生FW三輪翔真は、県予選5試合すべてでゴールを挙げ、通算17得点と大暴れの予感を漂わせている。岡山学芸館(岡山)のMF池平直樹も鋭く的確なパスで飛躍を狙う1人だ。

ドラマだらけの魅力あふれる大会

チーム単位で見ても選手個人を見ても、ドラマだらけ。魅力あふれる大会がもうすぐ始まる 【写真:アフロスポーツ】

 高校選手権の展望は、難しい。特に1、2回戦では、強い緊張感が影響して実力を発揮できないチームが多い。一方、3回戦以降まで勝ち上がれば自信を付けて大きく変ぼうする可能性がある。前回準優勝の國學院久我山(東京)も都リーグでは4位と振るわなかったが、勝ち上がるにつれて調子を上げたチームだった。特に個性の強いチームが勢いを付けると、面白い試合が見られる。ドリブル軍団の聖和学園(宮城)、多彩なセットプレーを持つ富山第一(富山)や立正大淞南(島根)、夏の全日本ユース(U−18)フットサル大会を優勝し、U−19フットサル日本代表候補の左DF斎藤日向を擁する帝京長岡(新潟)などは、結果を残せれば、強い印象を与えそうだ。

 3年生が高校生活の集大成として、憧れの舞台に挑む大会。チーム単位で見ても選手個人を見ても、ドラマだらけになる。大学1年生の世代から現在の高校生の世代までは、2020年東京五輪での活躍を狙う世代。プロ入りを果たす選手を筆頭に、長く続くストーリーの始まりを多くの人が見ることになるかもしれない。

 どこが勝つのか、誰が輝くのか。魅力あふれる大会がもうすぐ始まる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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