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駿台学園の初戦が事実上の決勝戦!?
山本隆弘が語る春高バレー男子の展望
三冠を狙う駿台学園の村山(右)。春高では初戦から大一番を迎える
三冠を狙う駿台学園の村山(右)。春高では初戦から大一番を迎える【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 来年1月4日にバレーボール部に属するすべての高校生にとって憧れの舞台である「春の高校バレー第69回全日本高等学校選手権大会」が開幕する。今大会はどこが優勝旗を手にするのだろうか。


 自身も「春高」の舞台を経験し、今大会に出場する多くの高校を指導した経験を持つ元全日本代表の山本隆弘さんに、男子の見どころや展望を語ってもらった。

「三冠」を狙う駿台学園は初戦が大一番

駿台学園は大エースの都築(6番)を擁する星城と初戦でぶつかる可能性がある(写真は前回大会のもの)
駿台学園は大エースの都築(6番)を擁する星城と初戦でぶつかる可能性がある(写真は前回大会のもの)【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 いやー、春高を勝つのは本当に大変。今大会はまさにそれを強く感じさせるような組み合わせになりました。


 高校生にとってはインターハイ、国体、そして春高。この3大会を制すれば「三冠」となり、今大会でその権利を唯一持っているのがインターハイと国体を勝った駿台学園(東京)です。中学時代から共にプレーし、JOC杯など全国大会を制してきたキャリア豊富な選手がそろい、この年代では頭ひとつ抜けた印象のあるチームです。


 絶対的な大エースがいるわけではなく、全員が高い技術と経験を持つチームの中で、攻撃の中心は村山豪選手。前回大会では「これは無理だ」と自分で判断してしまい、攻撃参加が遅れる場面も目立ったのですが、東京予選の際には守備から攻撃の切り返しも速くなり、常に積極的に攻撃に参加する姿勢を見せるなど、昨年とは比較にならないほど成長した姿を見せていました。この1年、チームとしてかなり鍛えてきたなという印象が強く、やはり三冠を狙うだけの戦力と意識を持ったチームだと言えるでしょう。


 ところが、その駿台学園と初戦で対戦するのが星城(愛知)と上越総合技術(新潟)の勝者。どちらも大会屈指の大エースを擁するチームです。さすがの駿台学園も、初戦からこれほどの大一番になるとは、予想もしていなかったはずです。


 インターハイ、国体を勝ってきたとはいえ、春高と比べれば会場の雰囲気も注目度も格段に違います。どんな大会でも初戦というのは多少なりとも緊張するもので、シードの駿台学園にとって2回戦が大会初戦となるのに対し、星城か上越総合技術は注目校同士の対戦に勝利して勢いに乗って2回戦に臨む。これは事実上の決勝戦と言っても大げさではない、目が離せない対戦になりそうです。

世代を代表するエースの都築と新井

山本さんは上越総合技術の新井(5番)を「東京五輪で代表へ入る選手」と評価(写真は前回大会のもの)
山本さんは上越総合技術の新井(5番)を「東京五輪で代表へ入る選手」と評価(写真は前回大会のもの)【坂本清】

 高校の先輩である石川祐希選手(中央大)に匹敵するポテンシャルを持つと言われる星城の都築仁選手は、194センチの高さだけでなく、器用さも持ったアタッカーです。まだ線は細いですが、巧さは年々増していますので、今大会でどれだけ成長した姿を見せるか。僕自身も期待しています。


 その星城と対戦する上越総合技術の大エースは新井雄大選手です。2年生で出場した前回大会、新井選手のスパイクは他の選手と違う破壊力がありました。最高到達点が350センチと高校生レベルを遥かに超えた高さがあり、なおかつパワーもある。最高打点からあれだけ力のあるスパイクが打てるのは非常に魅力です。個人的にも、新井くんは2020年の東京五輪で代表へ入る選手だと確信しています。今は相手のブロックも高くはない状況なので、ドカンドカン好きなように打てているかもしれませんが、世界を見据えて守備力や、滞空時間を生かしてリバウンドを取るなどいやらしいプレーも身に付けてほしいですね。


 世代を代表する両エースのいきなりの対戦はもったいない気もしますが、とても楽しみな試合になることでしょう。

山本隆弘の注目は洛南のエース大塚達宣

 星城vs.上越総合技術に匹敵する、いや、それ以上に熾烈な戦いが予想されるのが大会初日の1試合目に行われる創造学園(長野)と大村工業(長崎)の対戦です。両校とも全国常連の強豪校であり、創造学園はスピードと組織的なブロック、大村工業には基本にのっとった守備と組織力を生かした攻撃という、それぞれの武器も持っています。この対戦に勝利すれば次は国体4位の大塚(大阪)と激突する、これまた熾烈なブロックですが、ここを勝てば一気に勢いに乗るのは間違いない。1月4日の第1試合から大いに注目が集まることでしょう。


 もう1つ、僕が注目するのは洛南(京都)です。インターハイでベスト4に進出した東山を破ったチームの主力は1年生。中心になるのが192センチのエース、大塚達宣選手です。大塚選手はパナソニックパンサーズのジュニアチームに所属していた選手で、昨年のVリーグジュニア選手権ではMVPを獲得しました。跳躍力があり、高い打点からとにかく打ちまくる。インターハイの時にはまだ彼自身のプレーも定まらず、東山に敗れて出場を逃がしましたが、春高は勝ち上がってきました。


 駿台学園や星城、上越総合技術、創造学園と大村工業、大塚といった強豪同士の対戦が片方のブロックに集中する中、洛南は反対側のブロックに入りました。前回大会を制した東福岡(福岡)など強豪校もいますが、それほど飛び抜けた力を持つ高校があるわけではありません。1年生主体のチームとはいえ、勢いに乗れば洛南のベスト4、決勝進出も夢ではないはずです。


 インターハイ準優勝の清風(大阪)がいるブロックも、東亜学園(東京)、開智(和歌山)など全国大会常連の強豪校がそろいます。初戦から激戦続きの反対ブロックに対し、こちらのブロックは2回戦、3回戦と勝ち進むごとに強豪同士の対戦を強いられる。これは、大会終盤に向けて勢いを加速するためには理想的な展開でもあります。カギになるのは3回戦と準々決勝が行われる大会3日目(1月6日)をどう戦い、勝ち抜くか。決勝進出に向け、このダブルヘッダーでいかに余力を残し、なおかつ勢いを付けるか。それがポイントになるのではないでしょうか。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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