石井監督「アジア王者としてもう一度」 鹿島アントラーズ クラブW杯決勝後会見

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レアル・マドリーとのクラブW杯決勝後、会見に臨んだ石井正忠監督 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 鹿島アントラーズは18日、横浜国際総合競技場でクラブワールドカップ(W杯)決勝のレアル・マドリー戦に臨み、延長戦の末2−4で敗れた。鹿島は前半9分にカリム・ベンゼマにゴールを決められ先制を許すも、柴崎岳が前半44分、後半7分と続けてゴールを挙げて一時は逆転に成功した。しかし、後半15分にクリスティアーノ・ロナウドのPKで追いつかれると、延長戦でもロナウドに2ゴールを決められ力尽きた。

 試合後、鹿島の石井正忠監督は「急激に日本サッカーが世界に近づいていることを証明できた」と手応えを語るも、敗戦に悔しさをにじませた。「来年はACL(AFCチャンピオンズリーグ)で優勝して、アジアの王者としてもう一度この場に立ちたい」と語り、クラブW杯連続出場に意欲を見せた。

世界の小さなクラブに勇気を与えた

──リスクマネジメントをして、なるべく失点を抑えて攻めるところは攻めることができた見事な90分だったと思う。延長戦で2点届かなかったが、理由は何だと思うか?

 私のスタメン選びや交代選手を入れることで何か変化をつけられると思っていましたし、どうにか追いつこうとしたのですがうまくいきませんでした。選手は120分しっかりファイトしてくれて、あのレアル・マドリーに真っ向勝負をしてくれたので、私の力のなさではないかと思います。

──今大会の2位という成績は日本サッカーにとってどのような意味があるのか?

 日本のサッカーはプロができてまだ25年ぐらいなので、今回出場するクラブの、国の歴史から見ると浅い部類に入ると思います。(だからこそ)日本サッカーがここまで来られたのは非常に意味があると思います。急激に日本サッカーが世界に近づいていることを証明できたと思います。

──人口が6万7000人の鹿嶋市から生まれたクラブが、世界一に挑戦して、あと一歩というところまで追いつめた価値をどう考えるか?(小谷紘友/フリーランス)

 おっしゃるとおり、鹿嶋市は茨城県の東の端にあり、小さな町から生まれたクラブです。Jリーグが参入するのに99.9999%不可能と言われて、0.0001%の可能性に懸けて町が動いてくれたことで、今があると思っています。そのクラブが日本を象徴するチームになっていることは、世界の小さなクラブに勇気を与えたと思います。

──120分間、集中力もエネルギーもアドレナリンも尽きることなく戦えたのは予想できていたか。また後半は押し込んでいて、いつ点を取ってもおかしくなかった。そのときはどういう気持ちで見ていたのか?(田村修一/フリーランス)

 体力的な部分では、ある程度はいけると予想していました。非常に選手たちの個人個人の自己管理が良かったし、ホテルでの生活態度、体調をコントロールするところはしっかりしていたので期待していました。その中でも個々のスピードや決定的なチャンスを決め切るのも体力が必要だと思うので、そこが不足していたので差になったと思います。

レフェリーが勇気が持てなかった

──みんなほめているが、本当はものすごく悔しいのでは?(大住良之/フリーランス)

 悔しいです。本当に、あのレアル・マドリーに対して、相手を苦しめることはできたと思います。ちょっとしたポジショニングであったり、プレーの判断ミスで失点してしまった。本当に悔しい思いでいっぱいです。選手は立ち上がりから勇気を持って120分戦ってくれました。プレーの中で、少しレフェリーの方が勇気が持てなかった場面があったと思うので、そこも残念だったと思います。

──いい試合をして勝てなかった悔しさや、体感した世界のレベルに対して、選手たちがどういう反応をしてくれるのが望ましいのか?

 こういう高いレベルの試合を、Jリーグでもしっかりとやるべきだと思います。それは私たちだけでなく、Jリーグの発展にもなるので続けたいです。このような素晴らしい大会に出場させていただき、いろいろなチームと戦って、いろいろな経験をさせていただきました。来年はACL(AFCチャンピオンズリーグ)で優勝して、アジアの王者としてもう一度この場に立ちたいです。選手もおそらくそう感じてくれていると思います。

──レアル・マドリーのような相手と戦うには勇気と冷静さが必要になるし、心理的なものが重要になると思う。そういった面で選手をコントロールするために、何か特別なことをしたのか?(後藤健生/フリーランス)

 私からは意図して特別なことはやっていません。選手がこの大会の中で、今まで経験できないような相手に対処するということを学んでくれました。それを今日もしっかりとやってくれたと思います。この大会で選手全員が成長してくれたし、私自身もいろいろな勉強になりました。

──素晴らしい試合だった。選手は非常に勇気のあるプレーをしていたと思う。レフェリーがセルヒオ・ラモスのところで警告を出さなかったことをどう感じるか?(外国人記者)

 さっきも言ったが、レフェリーの方が勇気を持てなかったということ。そこに対して、いつまでも気持ちを持っていかれないように、選手は冷静に最後の最後まで戦ってくれたと思います。

──ほとんどの大陸のクラブチャンピオンに勝ったわけだが、これは1年間続くと思うか。アジアのチャンピオンがこの大会を優勝できるまであと何年かかると思う?(外国人記者)

 こういう(高い)テンションでの試合は続けないと世界との差は縮まらないと思っています。そうしないと、今回チャンピオンになった欧州代表のレアル・マドリーには近づけないと思います。こういう試合を続けて、アジアの他の国々とも厳しい戦いをしていけば、アジア全体のレベルも上がるし、その中でアジア代表として出れば、強豪国とも対等に試合ができるのではないかと思います。これを続けていかないといけないですね。

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