【DEEP】初代王者・今成がフェザー級王者返り咲き 大塚はまさかの相手失踪でWSOF王座戴冠

長谷川亮

40歳にして新王者に返り咲いた初代DEEPフェザー級王者・今成 【写真:中原義史】

 総合格闘技DEEPの「DEEP CAGE IMPACT 2016 〜DEEP vs WSOF−GC〜」が17日、東京・ディファ有明で開催され、DEEPフェザー級王者決定戦、WSOF−GCバンタム級とフライ級の王座決定戦など全18試合が行われた。

得意の足関を封じられ打撃で逆転

【写真:中原義史】

 大会メインイベントは長倉立尚と今成正和によるDEEPフェザー級王者決定戦。2Rまで長倉が距離を取ってローを中心とした攻勢で、今成が得意とする足関のチャンスを与えない。
 このまま長倉が判定勝利かと思われたが、今成が3R開始直後に跳び蹴りを放ってヒット。これにフラついた長倉を今成はさらにパンチで襲ってKO寸前まで追い込む。何とか組みつきこらえた長倉はテイクダウンしてこのピンチをしのぎ、スタンドに戻ると再び右ロー、左ジャブ、右クロスと今成を攻めて終了。

40歳にして再びベルトを手に

【写真:中原義史】

 DEEPのタイトルマッチは5人制ジャッジにより判定がなされるが、結果は両者を2人ずつが支持した後、最後の1者が今成を支持して3−2で今成が勝利。かつて保持したベルトを再び手に入れ、40歳にして新王者となった。
 試合後マイクを渡された今成は、「最初に獲ったベルトで思い出深かったので、また巻けたらうれしいなと思っていました」と、今成らしく淡々とその喜びを飾った。

無傷の戴冠でRIZIN出場アピール

WSOF−GC王座決定戦に出場予定であったフェルナンド・ヴィエイラが体重超過で失踪したため大塚隆史が新王者として認定を受けた 【写真:中原義史】

 米団体「WSOF」の海外部門である「WSOF−GC」は今年2月に日本初進出。6月に日本のDEEPと提携を結び、今大会ではWSOF−GCバンタム級とフライ級の王座決定戦が行われることとなった。

 しかしバンタム級王座決定戦に出場予定であったブラジルのフェルナンド・ヴィエイラが計量で3.3kgの体重超過を犯し、再計量時には姿を見せず失踪。試合は中止となり、ヴィエイラと対戦予定であった大塚隆史が計量をクリアしたことから王者として認定を受けた。

試合中止の代わりに憂流迦が登場

大塚の試合中止を受けUFCで戦う佐々木憂流迦が急きょエキシビションマッチを実施 【写真:中原義史】

 中止になった試合の代わりに、大会ではUFCフライ級で戦う佐々木憂流迦が登場して大塚と5分1Rのエキシビションマッチを実施。憂流迦は大塚の足元にスライディングして足関節を狙い、大塚はタックルからリフトアップして応戦し、客席を湧かせた。

 笑顔なき戴冠となった大塚は、「この試合のために2カ月準備してダメージもないです。RIZINに出ている軽量級の所、アーセン、才賀、全員1Rで倒せるので、榊原さん僕もいます。考えといてください」と試合中止の鬱憤を年末にぶつけるべく、ケージサイドで観戦した榊原信行RIZIN実行委員長に出場を訴えた。

王座戴冠の中村はチームメートに感謝

判定でWSOF−GCフライ級王座を戴冠した中村優作は歓喜の涙 【写真:中原義史】

 フライ級は中村優作とローレンス・ディグリオにより王座決定戦。両者は今年2月のWSOF−GC日本大会で対戦しており、この時は中村がからくも2−1の判定勝利。今回はタイトルマッチに舞台を変えての再戦となった。

 前回の対戦でディグリオの強打と打たれ強さは重々承知か、中村は距離を取って右ローキック、そしてディグリオの動きが止まると踏み込んでの右、という作戦を崩さない。3Rこそディグリオのフロントチョークに捕まる場面があったが、中村はその後も自身のやることを貫き、距離を作って右ロー、左ハイ、左右ストレートと当てて終了。

 49−46、49−46、48−47の判定3−0で勝利しベルトを腰に巻くと目頭を抑え、石原夜叉坊、田中路教といったチームメイトの名を上げ、「格闘技が地上波に戻ってきて、僕も含め世界に出て、世界で頑張っている選手もいるので、地上波に出ている選手以外にも目を向けてやってください」と観客にメッセージを送った。

UFC帰りの金原が貫禄TKO勝利

UFCとの契約を終え2年半ぶり参戦の金原正徳は貫禄勝利 【写真:中原義史】

 第12試合にはUFCとの契約を終えた金原正徳が2年半ぶりに出場し、UFCの育成番組「TUF」に出場したチャーリー・アラニツと対戦。開始すぐに三日月蹴りを突き刺しアラニツに効かせた金原は、これで頭の位置が落ちたアラニツをさらにサッカーボールキック、ヒザ蹴りで攻撃。これでアラニツの額から出血を呼び、わずか30秒で勝利を挙げた(ドクターストップによるTKO)。

 試合後金原は、「もうちょっとやるかは気分次第ですけど、また戦える機会があれば応援よろしくお願いします」と語ったが、さらにその戦いが見たくなる圧倒ぶりと勝利であった。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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