sportsnavi

遅れてきた“みうみま”世代の新ヒロイン
「草食系」早田ひなに目覚めた闘争心
ワールドツアー・グランドファイナルの女子ダブルスで優勝した早田ひな(左)、浜本由惟組。早田は世界ジュニアとの連戦で、金銀合わせて5個のメダルを獲得した
ワールドツアー・グランドファイナルの女子ダブルスで優勝した早田ひな(左)、浜本由惟組。早田は世界ジュニアとの連戦で、金銀合わせて5個のメダルを獲得した【Getty Images】

 日本の卓球界はこの年末も活況だ。南アフリカ・ケープタウンで開かれた世界ジュニア選手権(11月30日〜12月7日)で男女団体がアベック優勝。連戦のワールドツアー・グランドファイナル(12月8〜11日/カタール・ドーハ)でも、早田ひな(希望が丘高校)・浜本由惟(JOCエリートアカデミー)ペアが女子ダブルスで優勝し、日本中に明るい話題を振りまいた。特に早田は世界ジュニアにも初出場し、団体優勝に貢献したほか、女子ダブルスと混合ダブルスでも準優勝している。グランドファイナルのシングルスでは21歳以下の部でも優勝し、わずか12日間で金銀合わせて5個のメダルを手にした。


 早田といえば、「みうみま」の愛称でおなじみの平野美宇(JOCエリートアカデミー)、伊藤美誠(スターツSC)と同じ16歳で高校1年生。3人は幼い頃からライバルでもあり仲の良い友達だが、何かにつけて比べられてきた歴史もある。とりわけ中学を過ぎた頃からは平野と伊藤がワールドツアー最年少優勝や、今年は伊藤がリオ五輪団体銅メダル、平野もワールカップ最年少優勝などで脚光を浴び、早田は2人の偉業の陰に隠れてしまっていた。

長身を生かしたダイナミックな戦型とコーチの存在

 早田の躍進の理由をひもとくとき、日本勢に少ない上背を生かしたダイナミックなプレースタイル(戦型)と、指導者の石田大輔コーチの存在が欠かせない。

 伊藤美誠の身長が153センチ、平野美宇が158センチに比べると、165センチある早田は手足も長く、その恵まれた体型を生かした中陣(卓球台からやや離れたポジショニング)からのパワードライブは彼女の最大の武器である。さらに石田コーチは、「リーチの長いブロックも高い守備力につながっている」と指摘する。ちなみに伊藤は前陣速攻型といって、卓球台にしっかり詰めて早い打点で返球するスタイル。平野も前陣だが安定した両ハンドドライブと類いまれなコントロールが持ち味だ。


 一度、早田のプレーを見れば分かるが、体を大きく使って繰り出す、しなるようなフォアドライブには相手コートを撃ち抜く、あるいは相手のブロックを粉砕する威力がある。だがその一方で、台から離れるぶん返球時の動く範囲は広がりフットワークが要求される。そのため前陣の選手よりも体力の消耗が激しく、以前の早田はスタミナ不足から試合の後半に失速することがしばしばあった。


 この課題を克服しようと石田コーチが始めたのが、トレーニングの徹底と食事の改善。「おそらくジュニアの中で一番厳しくしていると思います。ストレッチひとつにしても、ちょっとでもぼーっとしていると、『1分、時間を無駄にしたよね?』とか、肉ばかりで野菜を食べていないと『野菜、スルーしただろ?』とか、毎日うるさく言っていますから。これらは全て自身の体に意識を集中させるため。本人もそれを理解しているので必死についてきています」と石田コーチは語る。

高樹ミナ
高樹ミナ

スポーツライター。千葉県出身。 アナウンサーからライターに転身。競馬、F1、プロ野球を経て、00年シドニー、04年アテネ、08年北京、10年バンクーバー冬季、16年リオ大会を取材。「16年東京五輪・パラリンピック招致委員会」在籍の経験も生かし、五輪・パラリンピックの意義と魅力を伝える。五輪競技は主に卓球、パラ競技は車いすテニス、陸上(主に義足種目)、トライアスロン等をカバー。執筆活動のほかTV、ラジオ、講演、シンポジウム等にも出演する。最新刊『転んでも、大丈夫』(臼井二美男著/ポプラ社)監修他。

スポナビDo

イベント・大会一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント