セリーナ時代を崩した、テニスの新女王 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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「セリーナ時代」を崩したケルバー

2016年、世界ランク1位でシーズンを終えたケルバー 【写真:ロイター/アフロ】

 恒例の「シーズンを振り返って」の季節になりました。16年シーズンのトピックスの一つに、アンゲリク・ケルバー(ドイツ)のWTAランキング1位獲得を挙げたいと思います。

 2015年の最終ランキング10位からの1位奪取は、センセーショナルでした。スタートは、セリーナ・ウィリアムズ(米国)を決勝で破っての、全豪オープン初タイトルでした。以降、1年を通して一番、安定感があった選手という印象です。1位になる可能性が出てきてすぐに、ランキング昇格を懸けた試合で勝利をもぎ取って自分でナンバーワンの座を勝ち取ったことも、素晴らしいと思います。

 セリーナがナンバーワンとして君臨する時間が長かっただけに、歴史が動いた瞬間でした。セリーナも30代半ばにさしかかり、次は誰が来るのか、さまざまな意見が飛び交いました。それを成し遂げたのは、派手さはないけれど、マジメにコツコツ積み上げていくタイプのケルバーでした。多くの人にとって、予想もしていなかった新チャンピオンの誕生だったと思います。

鉄壁守備、研ぎ澄まされた体……積み重ねた力

 今のテニスの傾向として、守りがベースで、アディショナルとして攻撃ができる選手、相手にとっては「倒しにくい」選手が男女とも頂点に立っています。男子のアンディ・マリー(イギリス)もそういったタイプです。

 セリーナは攻撃型ですし、男子のロジャー・フェデラー(スイス)を含めて攻撃型の選手が君臨した時代を経て、徐々に主流が移り変わってきたように感じます。今はディフェンスが鉄壁と言われるくらい上手で、さらに攻撃もできる選手が一番強いという印象があります。守るだけではナンバーワンにはなれないので、いつ攻撃できるか、どう攻撃するかと相手の隙を常にうかがい、それを絶対見逃さずに攻撃できるのが今のトップ選手に共通する特徴です。ケルバーもまさにそういうタイプの選手です。

 左利きの選手というと、どちらかというと、タッチがあって器用に見える選手が多いイメージですが、彼女はもしかしたらそういった特徴は持ち合わせていないのかもしれません。ただ、それ以上に、フィットネスで他の選手に勝っています。体型も見るからにシェイプされていますし、体が研ぎ澄まされているのが外から見ても分かるのです。相当なフィジカルの鍛え方をしていることが容易に想像できます。

 それだけの鍛え方ができるのは、彼女のマジメな性格、信念の強さがあってのことでしょう。コメントひとつとっても、そのマジメさがうかがえます。テニスが我慢強いのと同じように、物事への向き合い方も我慢強いのだと思います。

 本当に一つ一つ積み重ねてきたのでしょう。そういう選手が勝ち取ったナンバーワンには、大きな価値があると感じます。
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