チームでつかんだ中央大のインカレ3連覇 石川は勝負の場となる2度目のセリエAへ

田中夕子

2度目のセリエA挑戦は勝負に行く

2年前に強豪モデナに渡ったときと今回は違う、そう証明するための挑戦が始まる 【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】

 ひとつの目標を達成して、次のステージへ挑む。それは中央大だけでなく石川も同様だ。

 全日本インカレの優勝から3日後の12月6日、2度目のセリエA挑戦に向け、石川はイタリアへ旅立つ。2年前の2014年にもセリエAのモデナに渡ったが、「(セリエAは)どんな世界なのか経験してみたかった。という程度で勝負ができたわけではない」と自身も振り返ったように、強豪チームの中で試合に出場する機会はほとんどないまま帰国した。世界を知る貴重な経験になったのは確かだが、それ以上ではない。

 帰国後、ワールドカップやリオデジャネイロ五輪世界最終予選を経験した今は意識も技術も、あの頃とは違う。そう証明するためにも、また自身のステップアップのためにも、21歳でのセリエA挑戦は石川も「自分の力を出してスタメンを取りに行く」と公言するように、ただ経験を積むのではなく、勝負の場になる。

 当然ながら、求められるレベルも高くなる。レギュラー獲得のために石川がまずひとつのポイントとして掲げるのがレセプション(サーブレシーブ)だ。攻撃の面では活躍が光った全日本インカレでも、決勝では東海大のセッター龍一誠のジャンプフローターサーブに崩され、ダイレクトボールを相手に献上し、失点を喫するなど課題も残った。

「最近はオーバー(でのレセプション)を意識していて、自分が取りに行かなくていいところも取りに行ってしまった部分もあったのですが、イタリアではレセプションをメーンに使われると思うので、そこはしっかり返せるようになりたいです」

指揮官交代の影響が心配されるも……

指揮官交代の影響が心配されるも、石川自身はさほど気にしていないようだ 【坂本清】

 石川が加入するラティーナはセリエAで苦戦が続いており、現在は14チーム中13位。チーム再建に向けシーズン途中で、石川にオファーを出したビンチェンツォ・ナッチ監督が退任し、ダニエレ・バニョーリ新監督が就任した。

 ポジション争いや選手としての評価もまた振り出しに戻る可能性もあり、指揮官の交代は選手にも少なからずの影響を及ぼすのではないか。そう懸念されるが、石川自身はさほど気にしていないらしい。

「チームの調子があまりよくないのは嫌ですが、その分試合に出るチャンスは増えるかもしれない。そこで結果を出して活躍できたら、スタメンを張ることができると思います。前の監督だったら試合に出られるという保証はなかったし、実力で(スタメンに)入ればいいと思っているから心配はしていないです。自分の力を発揮して勝ちたい。ファイナルへ行きたいです」

 まだまだここから。新たなチャレンジに誰よりも胸を躍らせるのは、きっと石川自身だ。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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