性格は正反対―知れば知るほど面白い兄弟 松永幹夫師が語るアウォーディー&ラニ

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母ヘヴンリーロマンスの背中を知る松永幹夫調教師に、アウォーディー&ラニ兄弟について聞いた(撮影:大恵陽子) 【netkeiba.com】

 違った個性を持つ兄弟がともにチャンピオンズC(GI、中京ダ1800m)の舞台に出走する。優等生タイプのアウォーディー(牡6)と激しい気性のラニ(牡3)。なぜ兄弟でこんなに個性が違うのだろうか。彼らの母ヘヴンリーロマンスは、牝馬ながら2005年天皇賞・秋を勝った。芝GI馬の母がダートで活躍する馬を続々と輩出するのも不思議な感じがする。知れば知るほどおもしろい一族。騎手時代は母に騎乗し、現在は兄弟を管理する松永幹夫調教師に3頭それぞれの特徴を聞いた。(取材・文:大恵陽子)

ダート適性を秘めていた母ヘヴンリーロマンス

松永幹夫調教師は現役騎手時代、ヘヴンリーロマンスで2005年天皇賞・秋を制した(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】

 なぜ、天皇賞馬の母からこうもダート馬が生まれるのだろう。ヘヴンリーロマンスの主戦だった松永幹夫調教師はこんな話をした。

「ヘヴンリーロマンスの初勝利はダートでした。もしダートを走らせていても、それなりの成績を残していたと思いますよ。ただ、ダート路線を歩まなくてよかったですよね。だってダートだったら天皇賞を勝っていませんでしたから。一度フェブラリーSを走りましたが、雨で軽い馬場だったんです。また、前に行った馬向きの流れで、メイショウボーラーが逃げ切り勝ちをしました。なので、全然走れていませんでした」

 11着だったからといってダート適性がないわけではなかった。むしろ、芝だけでなくダート適性も秘めていたといえるだろう。

『やっぱりお前もダート馬だったか(笑)』

ダート転向後にアウォーディーの快進撃が始まった(撮影:高橋正和) 【netkeiba.com】

 アウォーディーも最初は芝のレースを走っていた。

「堅実なんですが、あと一歩足りないところがありダートを使いたいなと思いました。昨年の春に東京ダート2400mに登録しましたが、除外になってしまったんです。仕方なく芝を使い、秋にやっとダートを使えました。初ダートで勝って『やっぱりお前もダート馬だったか(笑)』って感じでした」

 この頃すでに妹アムールブリエが川崎のエンプレス杯(JpnII)、門別のブリーダーズゴールドカップ(JpnIII)とダート重賞で2勝を挙げていた。

 アウォーディーもダート転向後6連勝でJBCクラシック(JpnI、川崎ダ2100m)を優勝。GI馬へと登りつめた。

ダート戦無傷の6連勝でJBCクラシックを制覇(撮影:高橋正和) 【netkeiba.com】

 セールスポイントを聞くと、即答した。

「堅実なところです」

 あらゆる点で平均的に優れているタイプだという。

「スタートも上手というか、スっといいポジションを取れるので、安心して見ていられます。ただ、日本テレビ盃もJBCもそうだったのですが、抜け出すとやめちゃうところがあるんです。その辺は騎手が一番よく分かっていると思うので任せたいです」

この中間の調整は順調、左回りも得意と来れば初のJRA・G1制覇へ期待が高まる(撮影:大恵陽子) 【netkeiba.com】

 チャンピオンズCの行われる中京競馬場と同じ左回りコースは、芝・ダート合わせて[5-4-3-5]。

「芝の時から左回りが上手なんですよ。芝でもそこそこのレースはできていましたが、ダートの時計がかかってスタミナ勝負になるのが合っているのかなと思います。最終追い切りもいい動きで、ちゃんと首を使って動けていました。前走でGIは勝ちましたが、中央でGIを勝たないと評価されないような気がするので、連勝をさらに伸ばしてほしいですね」

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