“大人になり切れない男たち”の戦い マッスル坂井監督2作目の映画公開へ
マッスル坂井(左)と松江哲明両監督による『俺たち文化系プロレスDDT』が完成。11月26日より全国順次ロードショーとなる 【写真:チナスキー】
映画の中心はHARASHIMAvs.棚橋の再戦
映画の中心となるのは2015年11月17日のHARASHIMA&大家健組vs.棚橋弘至&小松洋平組によるタッグマッチ 【写真:SHUHEI YOKOTA】
試合は熱戦の末に棚橋が勝利するも、棚橋はHARASHIMAを認めないかのように握手を交わすことなく退場。バックステージでは「オレは珍しく怒ってるよ」と切り出し、「ナメたらダメでしょ。これは悪い傾向にあるけど、全団体を横一列で見てもらっては困る。ロープへの振り方、受け身、クラッチの細かいところにいたるまで違うんだから」とコメント。この発言はDDTの選手、そしてファンに大きなしこりを残した。
これを受け、「DDTドラマティック総選挙2015」で1位となったユニット「#大家帝国」(男色ディーノ、スーパー・ササダンゴ・マシン、大家健)は、1位の特典として得られた興行権での自主興行開催にあたり、HARASHIMAと棚橋の再戦を打ち上げた。
映画は15年11月17日に実現したHARASHIMAと棚橋のタッグによる再戦を軸に、そこへ1997年に誕生したDDT、そして団体を彩るレスラーたちの歩みが挟み込まれて進んでいく。
勝ち負けでなく何かと戦うことがプロレス
2人の遺恨が清算される戦いの中で、DDT20年の歴史も振り返れる 【写真:SHUHEI YOKOTA】
また、1997年にたった3人でスタートし、小規模会場を中心に興行を行っていたDDT創生期の映像や、各選手の若き日の姿もふんだんに盛り込まれる。まだ線の細いキャリア初期の姿や、薄暗い会場の様子も確認でき、本作は来年20年を迎えるDDT自体のドキュメンタリーともなっている。
前作の『プロレスキャノンボール』は「プロレスとは何か?」を観る側に考えさせる作品であったが、今回は試合はもちろん、業界の盟主・新日本プロレスと戦うDDT、大会進行の台本と格闘する坂井と、それぞれの闘う姿が映し出され、「勝ち負けより何かと闘う姿を見せるのがプロレスではないか」と前作に連なり考えさせらされる。
『俺たち文化系プロレスDDT』――そのタイトルのごとく、あたかも“終わらない文化祭”のようにプロレスを続けるDDT。東京での上映は11月26日より新宿バルト9で始まるが、そこから7日間連続で舞台挨拶を実施と、DDTらしい尋常ならざる仕掛けで開幕となる。『新日本プロレスvs.DDT』、その戦いの結末、そして何が起こったのか? ぜひスクリーンで目撃されたし。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ