優勝は持ち越された水煙のサンパウロ 今宮純のブラジルGPインプレッション
フルウェットレースとなったブラジル
水煙により視界が奪われている状況下で、フェルスタッペンは躊躇なくライバルの懐に飛び込んでいった 【LAT】
4年ごとに雨がらみになるブラジルGP、12年(勝者ジェンソン・バトン)、08年(フェリペ・マッサ)と繰り返されてきた。単なる偶然かもしれないが『16年決戦レース』がまたそうなるような気がしてならなかった。
「やっぱりここがリスキーだ」
ルコネサンス・ラップ(グリッドに着く前の偵察走行)が始まってすぐ、12〜13コーナーでロマン・グロージャン(ハース)がクラッシュ。ドライなら全開でも濡れると、この坂は上から雨水が流れてくる“鬼門”に豹変する。堂々予選7位を得た彼がやるとは……。それにしてもフェラーリPUのドライバビリティは中回転域がややピーキーに感じられた。レースでフェラーリ所属のキミ・ライコネンがクラッシュ、セバスチャン・ベッテルもスピン、彼らもそれに苦しんだのではないか。
19歳のオーバーテイク・ショー
7周目、SCペースが1分58秒台に上がり、水中戦開始。あっさり1コーナーでフェルスタッペンがライコネンをとらえる。これがこの日の“オーバーテイク・ショー”の始まりだ。
衆目の2人対決、10周目に2番手ロズベルグは1.791秒まで接近した後、2.918秒、3.025秒と離れていった。このコンディションで深追いを慎み、長くなるはずの“71周”をじっくり行こうという考えだ。14周目にマーカス・エリクソン(ザウバー)が13コーナーから大きくスピン、クラッシュ。再びSCラン、2分オーバータイムからは路面状態がまた悪化方向にあると見てとれた。