イチロー、田中らWBC参加の実現度は? 日本人メジャーリーガーそれぞれの事情

丹羽政善

前田、上原らもチームの思惑を考えれば…

チーム事情は問題なく、あとはイチローの決断次第 【Getty Images】

 今季16勝を挙げたドジャースの前田健太も似たような立場に置かれている。昨年1月、ドジャースと契約した際の記者会見で、「身体検査においてイレギュラーな点がありました」と話し、年俸が低く抑えられ、出来高中心という前例のない契約のからくりが、明らかになった。それでも今季は、年間通してマウンドに立ち続けたわけだが、ドジャースが前田の健康状態に不安を持っていることは、契約内容から考えても疑いようがなく、さらに今季終盤、チームとしては前田が“疲れ”を見せたと捉えているよう。

 となれば、彼らとしては前田の出場に慎重な姿勢を見せてもおかしくない。もちろんここでも主導権は前田にあるが、その意思がチームの意に逆らうものであるなら、そのこと自体が大きなハードルとなる。

 野球日本代表・侍ジャパンの一部首脳陣が高く評価し、クローザーを任せたいと考える上原浩治に関しては、まず、来季所属先の決定が先。ただ、古巣のレッドソックスと再契約しようが、別のチームと新たに契約を交わそうが、来年4月3日に42歳となる上原に対し、どのチームもその背中を押すことには消極的になるのではないか。ケガのリスクうんぬんというより、1年間投げるだけの体力という点で、それをすべてチームのために使ってほしいと考えるのが普通だ。

 同様の理由で、マリナーズは岩隈久志が参加の意思を示せば、難色を示すと思われる。彼が14年の日米野球に参加することに対して、あれだけ抵抗したチームなのだ。岩隈も来年4月12日に36歳。今年はシーズン通してフル回転だっただけに、ゆっくり休み、ゆっくり調整し、開幕に間に合えばいいとチームは考えている。

 レンジャーズのダルビッシュ有は、今年5月にトミー・ジョン手術から復帰したばかり。すでにプレーオフを含めて18回先発したが、来年はリハビリの最終過程と捉えることができる。その中で出場するという意思を示せば、レンジャーズはあの手この手を使って止めようとするだろうが、おそらくその労力は必要ないだろう。本人もまずは完全復活を優先するはず。昨年のキャンプではまだリハビリに専念しており、考えたことにじっくり取り組むという時間はなかった。来年こそ万全の状態でシーズンに望みたいと考えている中で、彼にとって来春のキャンプの持つ意味は小さくない。

 キャンプが大切なのは、青木宣親と田沢純一も同じ。青木は移籍先のアストロズで、田沢はおそらく新チームで、オープン戦を通じて結果を残し、チーム内での居場所を確保する作業をしなければならない。となると到底、キャンプを空けられまい――。

イチロー参加の実現度は?

 最後にイチロー。

 マーリンズがどう考えているかといえば、シーズン半ばにドン・マッティングリー監督に聞いたとき、「イチローは、すべきことが分かっている。どこにいても、開幕には間に合わせてくる。問題ない」という考え方だった。先日、アリゾナで行われたGM会議でも、マイケル・ヒル編成本部長が同様の発言をしたそう。つまり、チームにとってイチローの出場に障害はない。

 ただ、イチロー自身、日本でも若い外野手が育っており、09年の第2回大会を最後にWBCという舞台を後進に譲ったようなところがある。ちょうど12年のシーズン途中にマリナーズを去ったときのように。となると、13年に続いて今回も不参加という可能性が高い――。

 さて、こうしてそれぞれの事情を主にチーム側の視点で考えたが、開催があと1年ずれていれば、状況は違ったかもしれない。田中、前田とも、2年連続できっちり皆勤すれば、さすがにチームも何も言えなくなるのではないか。ダルビッシュも完全復活を遂げ、次の契約が早い段階で決まれば、障害はなくなる。

 4年に一度というタイミングの難しさが、今回も影を落とす。

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著者プロフィール

丹羽政善

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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