小久保監督「勝つための采配をしたい」 侍ジャパン強化試合・前日会見

中島大輔

大谷はベーブ・ルースのような選手

アメリカ球界の関係者はみんな、その存在を理解していると言われた大谷。ゴンザレス監督も「ベーブ・ルースのように打ってよし、投げてよしという選手」と高い評価を与えた 【写真は共同】

――ゴンザレス監督とミューレン監督に伺います。日本代表には大谷(翔平=日本ハム)という二刀流の選手がいます。大谷選手の活躍ぶりはご存知でしょうか。

ゴンザレス監督 もちろん知っています。私だけではなくて、アメリカの球界関係者はみんな、大谷選手の存在を理解していると思います。彼は打つだけではなく、投げるだけではなく、非常に素晴らしい、大きな可能性を秘めたアスリートだと理解しています。私の理解では、彼はベーブ・ルースのように、打ってよし、投げてよしという選手です。私の聞いた話では、メキシコ戦で大谷選手が投げることはないので、それはちょっとラッキーだったと思っています。どのチームも大谷選手を欲しがっているのではないかと想像しています。

ミューレン監督 今回私はオランダ代表の監督として来日する機会に恵まれましたが、一方でサンフランシスコ・ジャイアンツのコーチも務めております。今回のような国際ゲームに携わる機会は、私にとってすべてスカウトの機会とも理解しています。ですので、日本チーム、メキシコチームに素晴らしい選手がいないかどうか、自分たちは土日しかプレーしませんが、木曜日も金曜日も東京ドームに来て、日本とメキシコでサンフランシスコ・ジャイアンツとサイン(契約)してくれるような、あるいは勝利をもたらせてくれるような可能性のある選手を積極的に発掘したいと思っています。オランダの監督ではありますけど、それが私のもう一つの務めだと理解しているからです。

――小久保監督に伺います。明日のオーダーは決めていますか。

小久保監督 (投手の)先発、2番手は決めていますが、スタメンはまだ決めていないです。

――注目の集まる4番にはどの選手を置くと考えていますか。

小久保監督 打順は夜に考えます。

――小久保監督に伺います。来年のWBCに向けた目標を教えてください。

小久保監督 1、2回目のWBCで日本は世界一になったというところで、日本ではWBCは日本のトッププレーヤーが集まる大会だと一番認識されています。そこに向けて、3回目は優勝できなかったんですけど、今回の4回目に世界一を奪還するという思いで、しっかりとした目標を持って進んでいきたい。そのためには、明日からの4試合でいい時間をすごしたいと思っています。

――ゴンザレス監督に伺います。明日の先発とラインナップを教えてください。

ゴンザレス監督 スターティングメンバーはまだ決めておりません。おそらく今夜決めると思います。スターティングピッチャーはホセ・オイエルビデス、背番号48を考えております。彼はサンディエゴ・パドレス傘下の1Aでプレーしています。非常にパワーのあるいいピッチャーですので、彼を明日の先発ピッチャーに起用する予定です。

――予告先発の名前が出ましたので、小久保監督からも発表いただいてよろしいですか。

小久保監督 武田翔太(福岡ソフトバンク)で行きます。

日本の印象は常に基本に忠実

ロッテ、ヤクルトでのプレー経験があるオランダのミューレン監督 【写真は共同】

――小久保監督に伺います。日本が海外のチームと戦う上で、これまで機動力野球のようにテーマを持って戦ってきたと思います。今回WBCに向けたテーマ、日本の形があれば教えてください。

小久保監督 一番の強みは投手力だと思います。投手を中心とした守りの野球は変わらず続けていこうと思っています。中継ぎ、抑えまで5人入っていますので、先発、2番手以降のつなぎも権藤(博)コーチとしっかり打ち合わせをしながらやっていきたいと思っています。攻撃面に関しては、もちろん足の速い選手が多いんですけど、国際大会を経験していくなかで、なかなか単独スチールをできないと感じていますので、ある程度手堅く送りバントで進めるケースも出てくると思っています。

――日本ハムの中田翔選手も「バントを辞さない」という話がありました。中田選手にかける期待、役割はいかがですか。

小久保監督 前回の山本浩二監督が「将来の4番候補」という意味も含めて、WBCに選抜されている選手です。その後に私が監督になってからもずっと常連といいますか、侍の4番と言えばという顔の選手だと思っていますので、明日からも大暴れしてくれることを期待しています。

――ゴンザレス監督に伺います。かつてのチームメイトである坂本(勇人=巨人)選手の当時の印象と、今シーズンの活躍を見ての印象を教えてください。

ゴンザレス監督 坂本選手はチームメイトだけではなく、非常にいい友人だと理解しています。坂本選手の何が素晴らしいかというと、1年だけではなく複数年に渡って素晴らしい活躍をしているからです。先ほどグラウンドで会ったんですけど、坂本選手には「インハイに投げるからな」と言って驚かしておきましたが、それは冗談です。彼に対してインコース、アウトコース、どこに投げようかというプランは特に用意していません。なぜなら、坂本選手は内側のボールも外側のボールも非常に上手にアジャストするからです。なんとか工夫をして、坂本選手からアウトをとろうと思っています。

――ミューレン監督とゴンザレス監督にお聞きします。2人とも日本の野球経験者でもあり、メジャーの経験者でもあります。それぞれの国によって野球のスタイルに違いはあると思いますか。第1、2回のWBCで「日本の野球のスタイルはスモールベースボールだ」と言われました。今もそういう印象を持たれている場合が多いですが、お2人はどう思いますか。

ミューレン監督 前回私たちが日本代表と戦ったときにはホームランを何本も打たれて16失点を喫しました。それでスモールベースボールとは到底言えないと思います。日本は常に基本に忠実という印象があります。基本に忠実だけでなく、ミスを犯すことがほとんどない。ミスを犯さないというのは、守備、走塁、ピッチングにおいてもミスをすることがない野球なので、非常に戦いにくい相手という印象があります。もちろん小久保監督は各試合によってそれぞれのアプローチでわれわれに対してくると想像しています。ヒットエンドラン、盗塁、いろいろな作戦をしてくるでしょう。日本チームはとてもダイナミックなチームです。私たちの小さなミスからビッグイニングを作る機動力、破壊力もありますし、私たちが思うように得点できない投手力もあります。日本チームの強みはいろいろな手法を兼ね備えているところだと思います。前回のWBCを思い返してみてください。日本チームは確か、第1ラウンドでホームラン1本くらいしか打っていなかったはずです。ところが第2ラウンドに行った瞬間、私たち相手に7本のホームランを放つような長打力も兼ね備えているようなチームです。

ゴンザレス監督 日本はどちらの野球もできると理解しています。バント、スチール、ヒットエンドランを効果的に絡めてスモールベースボールもできるでしょうし、パワーを駆使したパワーゲームもできるチームです。日本チームのロースターを見ると、25本以上のホームランを打った選手が非常にたくさんいることに気づきました。長打力も兼ね備えた、非常にレベルの高いチームだと思っています。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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