侍ジャパンのベスト打順を探る 山田はサード? 大谷の起用法は?

中島大輔

野手の適性を見極める4試合

セカンドに状態の良い菊池(写真)が入り、山田をサードで起用する場面も見られそうだ 【写真は共同】

 来年3月に開催される第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む野球日本代表(侍ジャパン)の野手陣は、キャッチャーを除き、すでにメンバーがほぼ固まっている。10日から行われるメキシコ代表、オランダ代表との強化試合を右肘痛で辞退した柳田悠岐(福岡ソフトバンク)が本番で選出されるか、否かは大きな注目点だが、今後大きな変更はないだろう。

 そんななか、これから決定されるのが打順だ。

「パターンは頭にありますけど、どうしようかなというところで、まだ決めていません」

 小久保裕紀監督は練習初日の6日、今回の強化試合4戦でいろいろ試していくと話した。4番は中田翔(北海道日本ハム)か筒香嘉智(横浜DeNA)に決まっている一方、カギを握る打順についてはこう明かす。

「ポイントは1番ですね。あとは筒香の後。本番を見据えて、左が絡むところで非常にキーになるのかなと。誰が適任かを何とか見極めたいと思います。彼ら(中田、筒香)の後ろを打つのがしっかり(走者を)かえせる選手でないと、(中田、筒香が)勝負を避けられることがあるので。(昨年11月の)プレミア12では筒香の後に中田がいたので、そこで得点できました。そういう点で、誰にしようかなと思っています」

 1番打者の候補は秋山翔吾(埼玉西武)、坂本勇人(巨人)、山田哲人(東京ヤクルト)だろう。リードオフマンを任された場合の役割について、秋山はこう話した。

「重視するのは出塁ですね。これだけのメンバーなので、どこからでも点を取れると思います。その中で1番は打席が一番多く回ってくるので、出塁して塁にいることがすごく大事だと思います」

菊池がショートに入る想定も

 豪華メンバーで打線を組む際に、大きなポイントになるのがポジション配置と大谷翔平(日本ハム)の起用法だ。

 前者について、仁志敏久内野守備走塁コーチはこう説明する。

「基本的に打順の収まりによってポジションを変えなきゃいけない、という判断です」

 6日からの練習では、山田がサード、菊池涼介(広島)がショートに入る場面も見られた。ともにセカンドが本職のふたりを同時に起用する場合、守備力に優れる菊池にセカンドを任せ、山田をサードに持っていくことになるだろう。小久保監督は「4試合の間にサードで山田を使ってみようという考えはあります」と話している。

 一方、本番のWBCに向けて大谷は5番・指名打者の候補としたうえで、今回の起用法についてこう語った。

「この強化試合はWBCにつなげるための試合です。本番ではピッチャーをメインに使うので、今回、彼をスターティングラインアップの最初から考えるメンバーで行くと、来年につながらない。そこは少し臨機応変に考えてやりたいと思います」

 大谷の打力については「(初日の練習で)日本代表チームの主砲と並んでも遜色ない打球を飛ばしていました。打撃でもクリーンアップの候補に入ってくる」と話しているように、改めて適性を見る必要はない。むしろ大谷が起用できない状況で、どういう打線の並びがいいかを見極めたいところだ。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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