侍J投手陣が強化試合で確認すべきこと WBCでの日本代表入りへ重要なマウンド
代表経験の浅い投手にチャンス
6日から始まった11月の強化試合への合同練習。代表歴のある山崎(写真右)は「クローザーの場所で投げたい」ときっぱり 【写真は共同】
「ひとつ言えることは、あの悔しさを忘れたことはないということです」
メンバー発表会見で昨年辛酸を舐めた世界野球プレミア12をそう振り返った小久保裕紀監督にとって、来年のWBCはリベンジを果たす舞台にもなる。そのために11月10、11日のメキシコ代表、12、13日のオランダ代表との強化試合で必要になるのが、本番に臨む戦力の見極めだ。
陣容が固まりつつある野手陣に対し、投手陣はこれから見定めていく。プレミア12のメンバーから則本昂大、松井裕樹(ともに東北楽天)、牧田和久(埼玉西武)が外れたが、彼らはシーズンの疲労を配慮されたのだろう。
強化試合に臨む投手陣はフレッシュな顔ぶれで、小久保監督は「(WBCの選考には)今回の投球内容も入ってきます。あとはメジャー選手が絡んできます」と明かした。実績のある大野雄大(中日)や小川泰弘(東京ヤクルト)、涌井秀章(千葉ロッテ)らを今回は招集せず、戦力の底上げを図るべく、代表歴の浅い投手にチャンスを与えた格好だ。権藤博投手コーチは、「こっちが選ぶほど、格差はないよ。何番手で投げようと、みんなすごいピッチャー。それくらいいいメンバー」と期待をかけている。
新戦力のチェックに大事な修正能力
リリーフでは、プレミア12で欠けていた左のスペシャリストとして宮西尚生(日本ハム)、岡田俊哉(中日)。右では秋吉亮(ヤクルト)、大瀬良大地(広島)、山崎康晃(DeNA)が選ばれた。5人が投げる日は決まっておらず、権藤投手コーチは「毎日回るかもわからないし、1回も投げないかもわからん」と伝えている
試合状況に応じて適任者を投げさせ、その場面で好投できるかどうか、本番を見据えての確認が行われる。先発、ブルペンともにチェックポイントになるのが、国際試合への対応力だ。指揮官は、具体的にこう話した。
「マウンドの硬さ、ボールの違いを1試合のなかで修正するのはなかなか難しいかもしれないけど、修正能力も問われるところだと思うので、新しい戦力に関してはチェックしたいと思います」
求められる国際試合への適応能力
「長打を恐れてカウントを悪くするのが、やってはいけないことだと思います。ストライクゾーンでどんどん勝負できればいいのかなと思います」
今季途中にクローザーから先発に回った増井に対し、侍ジャパンで求められるのは後者の役割だ。そのうえで、「なるべく少ない球数で、イニングを稼げるようにできればいいと思います」と話している。
同じくプレミア12から選ばれている山崎は、国際試合では自身の強みを発揮しやすい一方、普段とは異なる投球も求められると語った。
「外国のバッターなので落ちる系も有効だと思います。そういう意味では、僕の武器であるツーシームがカギになると思うので、有効的に使うためにも普段のシーズンでは投げないボールも必要だと思います。インコースにも行くし、高いボールも使うし、ツーシームもさらに精度を上げてストライク、ボールに投げ分けないといけない」
山崎にとっても来年のWBCは、昨年の悔しさを晴らす機会だ。
「マウンドに上がるピッチャーは1人なので、一番いいところで投げたいと思っています。プレミアで最後(のクローザー)に名前を呼ばれず、信頼感という部分では、自分自身でまだ足りないところがたくさんあると思うし。同じ状況で、(クローザーとして)名前が呼ばれるようないい機会にしたいと個人的に思います」
メキシコ、オランダとの4試合を終えれば、いよいよ迎えるは来年の本番だ。この日、小久保監督は「WBCモードに入れてやっていってくれ」と選手たちに伝えた。晴れ舞台での日本代表入り、そしてそれぞれが望む持ち場を確保するうえで、投手陣たちにとって今回の強化試合は重要なマウンドになる。
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