カレンミロティックは発馬が鍵に 仕掛けどころが注目のメルボルンC

JRA-VAN

ハンデ戦&外国馬の遠征で番狂わせ多いレース

オーストラリア・フレミントン競馬場で開催されるメルボルンカップ。カレンミロティックは序盤に前々の位置を取り切れるかが鍵だ 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 1984年の19頭立てを最後に、今年も20頭を超える多頭数で争われることになったメルボルンカップ。ゲートから最初のコーナーまで1000m近くあり、フラットで幅員も十分とフェアな舞台設定ではあるものの、ハンデ戦に加えて外国馬も遠征してくるため、力関係の比較は困難を極める。昨年はいわゆる単勝万馬券、101倍の伏兵が番狂わせを演じるなど、1番人気やトップハンデ馬が苦戦傾向。その分だけ、推理の醍醐味(だいごみ)は増し、馬券ファンにとっては腕の見せ所となろう。

 昨年のメルボルンカップでハナを切り、ペースを握ったビッグオレンジが、今年もイギリスから遠征してきた。当時は24頭立ての23番と大外に等しいゲートから先頭に立ち、うまくマイペースに持ち込んだが、ラストスパートまでに後続を引きつけ過ぎた感があり、脚を残しながらも切れ味の差で後れを取った。優勝馬から2馬身半という着差は、仕掛け所ひとつであるいは押し切ることもできたかという惜しい内容。この辺りは相手関係を把握しにくい遠征馬の弱味で、2年目の今回は逃げるにせよ控えるにせよ、動き出しが多少早まるのではないか。

 前哨戦のG3ジーロングカップを逃げ切ったキウイが、ビッグオレンジに代わって先導役に名乗りをあげる可能性もある。前走ではスタートを決めて難なくハナに立つと、中盤からスイスイと加速して追撃を封じている。手綱を取ったケビン・マカヴォイ騎手によると、瞬発力はないものの持続力は相当とのこと。ビッグオレンジとしても、この馬に前を任せた方がレースはしやすいはずで、キウイが引っ張る展開になれば、昨年よりスタミナを問われる長距離戦らしい流れになるだろう。

 早めにピッチが上がる展開はカレンミロティックにとっても歓迎か。2年連続で好走した天皇賞・春のレースラップは、終盤4ハロン目から11秒台で上がる持続力型の決着(昨年のラスト1ハロンは12秒0)。2着に粘り込んだ2014年の宝塚記念も4ハロン目から11秒台に加速し、最後も12秒1と大きく落ち込んでいない。今回は多頭数のうえ、カレンミロティック自身があまり出脚の速いタイプではないだけに、序盤に前々の位置を取り切れるかが鍵だ。

先行勢に実力馬多数 終盤もつれればハートネルの出番

 ハートネルやボンダイビーチなど、昨年は出番をもらえなかった差し馬勢に、雪辱のチャンスはあるだろうか。

 出走予定馬の中でビッグオレンジの57kgは、アワーアイヴァンホウと並びトップハンデ。カレンミロティックが56.5kgの3番手で続く。実績馬が先行するなら後続のマークも厳しさを増し、差し馬に展開が向くことも十分にあり得る。

 愛セントレジャーで早めの仕掛けからオーダーオブセントジョージ(次走で凱旋門賞3着)を完封し、引き続きランフランコ・デットーリ騎手を確保したウィックローブレーブ、コーフィールドカップを完勝した4歳牝馬ジャメカも先行勢を射程圏に入れて直線を迎えるタイプで、ラップ以上に厳しい流れになることも予想される。

 昨年のハートネルは20番手以降に追いやられて流れに乗れずじまい。それでも今年は1番人気で迎えられそうな実力を秘めているだけに、中団あたりにつけられるようなら巻き返して何ら不思議はない。スタミナ自慢のボンダイビーチにももつれる展開はおあつらえ向き。世界のG1を席巻するエイダン・オブライエン調教師とライアン・ムーア騎手の名コンビが実に不気味だ。

伏兵勢も多士済々、アルマンダンは遅れてきた大物?

 エクソスフェリックは欧州でビッグオレンジらと勝ち負けしてきた実力馬。前々走は英インターナショナルSでポストポンドから4馬身半差の5着、豪州移籍初戦の前走でもコーフィールドC3着とG1で好走を続けており、目下の充実ぶりが見て取れる。ハートブレークシティーは前走で高額賞金のイボア・ハンデキャップを4馬身差で完勝しているが、ハンデ戦や障害戦を主戦場としており、重賞格付けのレースに出走するのは今回が初めて。欧州の長距離路線では障害レースとの兼用がめずらしくなく、3走前と前々走の障害戦から数えて3連勝中の勢いは評価できるものの、いきなりの平地G1で対応力が問われる。

 6歳にしてようやく使い込めるようになってきたアルマンダンは、今やG1ホースとなった強豪たちと、若かりし頃に互角の勝負を演じていた。機を見て一気に加速できる機動力を持ち、多頭数の混戦でより持ち味を生かせそうだ。鞍上が前走でキウイの手綱を取っていた点も、流れを読む上では強味となろう。

 この他にも、波乱の歴史に彩られたハンデ戦らしく、展開ひとつで結果も千変万化するメンバー構成。直前のG3レクサスSを追い込み勝ちして出走権を勝ち取り、人気上位に急浮上してきたオーシャノグラファー、昨年のジーロングC勝ち馬で、前走のコーフィールドCではラスト1ハロン最速の切れ味で4着に押し上げたアルムーンクィスのような伏兵も潜み、優勝候補は五指、いや、十指にも余る。
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