ラケットを叩く、壊すは違反行為なんです 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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相手のペナルティーで試合終了した経験

上海マスターズで破れたシャツをつかむジョコビッチ。ラケットをコートにたたきつける行為などもあり警告を受けた 【写真:ロイター/アフロ】

 テニスには独特なルールがいくつかあります。例えば違反行為の一つに「コーチング」があります。選手は試合中、コーチのアドバイスを受けることはできません(国別対抗戦などを除く)。これは他競技にはあまり見られないものでしょう。
 ただし、天候不良などで試合が中断し、コートから出てもよいとされた場合はコーチと話すことができます。トイレットブレークでのコーチとの接触は禁じられています。
 なお、WTAツアーではオンコート・コーチングを取り入れていて、事前に申請したコーチが1セットに1度、選手にアドバイスすることが認められています。

 タイムバイオレーションもテニスならではの規則です。ポイント間のインターバルは20秒(男子ツアーでは25秒)と定められていて、オーバーしてしまうと、1回目は警告、2回目からはペナルティーとして相手に1ポイントが与えられます。私はピンチになると急いでしまうタイプでしたが、ピンチや大事な場面になると時間が欲しくなる(プレーが遅くなる)傾向のある選手がいて、時々、警告を受けることがあります。

 タイムバイオレーションと言えば、私はこのルールでダニエラ(・ハンチュコバ/スロバキア)に勝ったことがあります。彼女は仲の良い選手で、当時はダブルスを組んでいましたが、この時はシングルスでの対戦でした。彼女は試合の序盤に一度、警告をもらっていましたが、ファイナルセットの大事な場面でまた時間をかけ過ぎてしまい、今度はポイントペナルティーとなりました。
 そして、マッチポイントでも同じ違反があって彼女がポイントを失い、ゲームセットになってしまったのです。すごく後味の悪い試合になってしまいました。確かにポイント間の時間は長かったと思うのですが、結果的に試合を壊す形になってしまったのは残念でした。

 珍しいところでは、全米オープンでセリーナ(・ウィリアムズ/米国)の“声による妨害行為”という出来事がありました。グラウンドストロークを打った直後、まだボールが着地していないのに、決まったと思って声を発してしまい、相手のショットに影響を与えたとして警告を受けたのです。

 テニスならではと言えば、帽子またはポケットなどに入れたボールが落ちると、主審は「レット」をコールし、ポイントがやり直しになります。1度目は警告、2度目からはポイントを失います。

ラケット扱いで警告も 壊れていないフリをする選手も

セリーナも、“叫ぶ”タイミングが早過ぎて警告を受けた経験が 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 ラケットをたたきつけて警告を受ける場面は皆さんも時々、ご覧になると思います。これは「ラケットや用具の乱用」という違反です。
 私自身、ラケットを折ったことはありませんが、置くときに「バンッ」とバッグにたたきつけたことはあります。もちろん、ラケットを折ったり投げたりするのは褒められたことではありません。ただ、選手は日常では決して起こりえない精神状態で試合をしています。競技者をやめて、あまり波風のない日常生活を送っていると、ああいう精神状態になることは二度とないと思います。

 ラケットを折る人をかばうわけではありませんが、それくらい、いらつくことがあるのです。なぜなら、そこにテニス選手の人生が懸かっているからです。夢とパッションとやりがいを懸け、もちろんそれが仕事でもありますし……。しかも、勝ち負けを争うスポーツですから、必然的に白熱し、あの激しさになってしまうのだと思います。

 ただ、警告をとられたくないので、折れないように、たたき方や投げる角度を考えながらやっているのは面白いところです。
 選手によっては、ひびが入ったかなと気づいているのに、1回使ってから交換する人もいます。すぐに交換すると、ラケットを折ったとして警告を取られる可能性が高いので、壊れていないように装うのですね。

 あとは、審判や観客に対する暴言など、言葉による違反行為もありますね。私はアメリカの大会で試合中、足が動いていないなと思い、独り言で「あーし!」と声を挙げたら、なんだか会場がざわつきはじめたのです。「アー、シット」に聞こえてしまったらしくて(笑)。
 主審に「愛、今、なんて言ったの?」と聞かれ、「日本語で『足!』『足動かそうよ』と言ったんだよ」と答えたのですが、主審は「シットに聞こえるから気をつけてね」と。幸い観客も険悪な雰囲気ではなく、苦笑いしていたので、それで済みました。


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