公式戦での引退試合は是か非か? カネシゲタカシの『ぷぷぷぷプロ野球』

カネシゲタカシ

公式戦の引退試合はありか、なしか 【イラスト:カネシゲタカシ】

 日本シリーズ真っただ中ですが、少し旬を過ぎた話題を。

 テーマはズバリ「公式戦での引退試合は是か非か」。

 それらが行われている最中だと、どうしても引退選手へのひいき感情などが入り交じり議論に冷静さを欠くと思ったので、少し時期をずらしました。
 
 先に言うと、僕は「是」。ありだと考える立場です。

引退試合には“手ごころ”が必要

 すっかりシーズン終盤の風物詩となっている公式戦での引退試合。力の衰えを自覚し引退を決意した選手が一軍登録され試合に出場。投手ならば最後の打者を三振(凡退)に、打者ならば甘い直球をヒットにして“有終の美”を飾るという、あの儀式のことです。

 もちろん意図通りに打者を打ち取ったり、ヒットを打てない場合もあります。しかし可能な限りそれらが実現するよう、相手球団とのあうんの呼吸で“配慮”がなされるのが一般的です。

 2016年は三浦大輔(横浜DeNA)、倉義和・廣瀬純(ともに広島)、サブロー(千葉ロッテ)、福原忍(阪神)、武田勝(北海道日本ハム)らが引退試合に臨みました。

 しかし、このような形での引退試合には「真剣勝負であるべき公式戦を冒涜(ぼうとく)するものだ」という批判が常について回ります。勝利至上主義であるべき公式戦に、自軍の監督や相手選手の“手ごころ”が必要となる引退試合は持ち込むべきではないという意見です。

理屈で考えちゃダメ!?

 確かにプロ野球の醍醐味(だいごみ)は真剣勝負であり、これをないがしろにすれば競技としての存在意義は崩れ、興行としての魅力も半減。とたんにプロ野球そのものが陳腐な存在へと成り下がってしまいます。

 特にCS制度の導入でいわゆる消化試合が減る傾向にある昨今、引退試合がシーズンの行方を握る大事な一戦となるケースもあり、そのような場合、現場で采配する監督は「引退試合」と「勝利至上主義」の板挟みで頭を悩ませることとなります。

 しかし、これらはすべて公式戦での引退試合を自粛すれば解決すること。

 シーズン後、もしくは翌シーズンのオープン戦等で引退試合やセレモニーを行えばいいというのが、引退試合反対派の皆さんの一般的な意見です。

 いや、仰ることはごもっとも。実に合理的で反論の余地もありません。「ありません」なハズなんですが……「いや、待てよ」と思ってしまう自分がいます。

 これ、もしかして理屈で考えちゃダメなんじゃないかな。

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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