早稲田大ラグビー部、異例の強化計画 「これからが本番」王者・帝京大に挑む
多くの1年生が先発「実力で使っています」
1年生ながら186センチ、100キロの体格を誇る大型CTB中野。今季からジャージのデザインを一新した 【斉藤健仁】
今シーズン、早稲田大はOBで、サントリーサンゴリアスなどで活躍し、大学時代はキャプテンも務めた山下大悟氏が新たに監督に就任。「BE THE CHAIN(一本の強い鎖になれ!)」というスローガンを掲げ、順風満帆とまで言えないかもしれないが、対抗戦の2戦目では難敵・筑波大学に快勝するなど、創部100周年を迎える2018年に向けて強化を進めてきた。
実は春と秋の青山学院大戦のメンバーを見ると、先発は10人、控えまで入れると23人中15人が入れ替わっている。いわばまったく違うチームである。しかも対抗戦のメンバーは、主将のLO桑野詠真(4年)らを筆頭にタイトファイブ(FWの前5人)こそ3年生以上だが、バックロー以下は1年生8人が先発。非常に若さあふれる陣容だった。「ケガ人などの影響もありますが、実力で使っています。いいプレーもまだまだな部分もありますが、試合を通じて戦う姿勢を見せてくれて良かったです」(山下監督)
「ラグビーの王道の部分で勝負する」
山下新監督の下、綿密な強化計画が進められている 【斉藤健仁】
「ブレイクダウン(接点)、スクラム、セットプレーとラグビーの王道の部分で勝負するということがチームの芯になった」(桑野主将)。また新1年生は、選手によっては例年より早い2月後半に入寮し、5月末まで試合に出さず、大学で戦う体を作るように専念させた。春の青山学院大戦で1年生が出場していなかったのは、そういった背景もあった。
5月末から、ルーキーたちが試合に次々と登場していくとチーム力は上がっていく。実は山下監督は昨シーズンから、チームスタッフの一員としてリクルート活動にいそしんでいた。その結果、今シーズン、すでに主力となっているのが昨年度の花園のファイナリストSH齋藤直人(桐蔭学園高)、SO岸岡智樹(東海大仰星高)の2人を筆頭に、No.8中山匠(成城学園高)、U20日本代表にも選出されたCTB中野将伍(東筑高)、FB梅津友喜(黒沢尻北高)ら1年生である。特にSH齋藤とSO岸岡のハーフ団、FB梅津は対抗戦では、開幕から4戦連続先発出場中だ。
1年生ハーフ団のゲームマネジメントが冴える
キックパスでトライをアシストするなど、冷静な判断が光る1年生SO岸岡 【斉藤健仁】
春の段階では、青山学院大だけでなく法政大にも敗れ、慶応大、大東文化大には大敗し、さすがに1年生の多い早稲田大は、今年は帝京大に勝つ可能性はあまりないかな、と予想していた。だが、筑波大戦の戦いぶり、そして勝利により、仕上がりは順調で、帝京大や東海大といった強豪相手にも十分に戦えるのではないかと思い始めた。