欠席なら罰則!テニス選手の記者会見事情 杉山愛コラム「愛’s EYE」

WOWOW

プロ選手として「発信していくことも大切」

テニス選手にとって会見出席も大事な仕事。写真は楽天ジャパン・オープン2回戦での棄権敗退後、記者会見に臨む錦織 【写真:アフロスポーツ】

 テニス選手が試合後に行う記者会見について、興味をお持ちの方も多いと思います。
 記者会見は大会主催者側から要請されるのですが、選手は呼ばれれば出席する義務があります。特別な理由もなく自分から会見をキャンセルした場合、罰金などの罰則があります。
 主催者は基本的にメディアからの要請によって記者会見を設定します。四大大会の本戦では日本のメディアも多いので、出場している選手はほぼ全員、記者会見を行います。
 私はプロテニスプレーヤーとして、発信していくことも大切という意識を持って記者会見の場に臨んでいましたが、あるきっかけで、その意識がさらに強くなりました。

「プレーヤーズ・ミーティング」といって、規模の大きいものは年に一度、ツアーに参加する選手が話し合いを持ったり、講師の話を聞いたりする機会があるのですが、ある年のモチベーションスピーカー(選手のモチベーションを上げるために話してくださる方)としてビリージーン・キングさん(WTAツアー創設者の一人)がいらして、話をされました。キングさんは「いくらあなた方が素晴らしいプレーをしようとも、メディアの力がなければ、それを見られるのはそこにいる人たちだけ。メディアがあるから世界中の人たちにあなたたちのプレーを見てもらうこと、知ってもらうことができるのを忘れないでね」と言われたのです。

 私はテニス選手の活動を広めてもらうにはメディアの絶大な力が必要と感じていましたが、こうしてあらためてキングさんから言われたら当然、意識が高まりますよね。それを聞いてさらにメディアの意味、ありがたみを考えるようになりました。

 ただ、負けたあとなどは頭が整理しにくいので、記者会見に臨むのは決して簡単ではありません。日本人の記者ではあまりいませんが、海外では選手にとってタフな質問、答えるのが難しい質問をしてくるジャーナリストもいます。ストレスを感じている選手も当然いるでしょう。

 私自身、タフな負け方をした後など、「何も話すことないよ」と思うこともなくはなかったのです。でも今となっては、会見の要請があって、お話しする機会があるのはありがたいことだったと思っています。

会見で鍛えられた英語力

会見が、英語力アップ、試合の振り返りの機会になったと話す杉山さん 【写真:アフロスポーツ】

 会見はまず(英語の質問者がいれば)英語で、続いて母国語で行われます。最初の頃は英語で何を聞かれているかさえ分からないことがあり、記者の人に「もういいよ」と言われた時はショックでした。活躍して発信していく立場になったら、英語は必要不可欠なので、もっと勉強しなくてはいけないと感じさせられました。そこで、ほかのプレーヤーが会見で話しているのをきちんと聞くようにして、「この言い回しは使えるな」などと参考にさせてもらったりしました。そのおかげで、使える英語をショートカットで身に付けられたと思います。

 試合を終えて自分が感じていることと、記者の方が見ていて感じることの間にギャップがあることもあって、記者会見で「あ、そういうふうに見えたのか」と気付かされることもあります。ですから、選手としては、試合を振り返るために、会見という機会をどう使うかというのも問われると思います。

 私自身、ジュニア年代から将来のための訓練としてやっていましたから、プロになっても記者会見でそんなに困ることがなかったように思います。他競技ではメディアとうまく付き合えない選手もいましたから、「あ、もったいないな」とか「選手として損しているな」と感じることもあり“人のふり見てわがふり直せ”で、自分の対応の仕方を冷静に考えることもできました。


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