“魅せる2人”が準決勝で激突へ! 楽天OPは上位シード勢がベスト4進出
第1シードの錦織圭(日清食品)は姿を消したが、大会第6日の準決勝はゴフィンvs.チリッチ、キリオスvs.モンフィスというツアーの実力者たちによる見応えのある組み合わせになった。
大の日本びいきであるキリオス
ジレ・ミュラーを破りベスト4進出を決めたニック・キリオス 【Getty Images】
準々決勝の相手となったジレ・ミュラー(ルクセンブルク)の武器は左からのサーブ。この日は快晴で屋根を開けての試合だったが、風が強かったのがハンディになったのだろう。第1セットの第1ゲーム、ミュラーがいきなりダブルフォルト2本、キリオスはすかさずこのチャンスを生かしてサービスブレーク。そのまま危なげなくサービスキープに集中して第1セットを奪うと、第2セットに入って一気にギアを上げた。この日は特にサーブが絶好調で、センターラインの外側を叩き、サイドラインから大きく逃げるワイドサーブもしっかり決めて、9度のサービスゲームの内、4ゲームはラブゲームでのキープ。サービスエース18本、ファーストサーブからのポイント率89%という高さで寄せ付けなかった。
粗暴な振る舞いが話題になることの多いキリオスだが、時速220キロのサーブを叩きつけるパワフルな印象は隠れ蓑(みの)。実際には、抜群のサーブコントロールで、ショットも繊細なタッチを持った技術系プレーヤー。今年は2度のツアー優勝に加え、ベスト4にも3度勝ち進んでおり、ランキングは昨年度末の30位から自己最高の15位まで引き上げた。いま最も将来を嘱望される男は、大の日本びいき。
「ジュニア時代から日本にはよく来ていて、大阪も東京もよく知っているんだ。みんな親切にしてくれるし、ここではとても気分よくテニスができる。もちろん勝ちたいけど、それが実現しなくとも、いつでもプレーしたい大会だ」
ロジャー・フェデラー(スイス)のプレーで有名になった、セカンドサーブからのネットアタック、通称「セイバー」は、自分の方が先にやっていたという。この日は、ファーストサーブからもやって見せるなど、エンターテイナーの魅力も存分に発揮していた。
絶好調モンフィスもビッグサーバーに勝利
今季絶好調のモンフィスはビッグサーバーのカロビッチに勝利し準決勝へ 【写真:ロイター/アフロ】
「ビッグサーバーが相手だったが、まずは自分のサーブを安定させることに気を付けた。決して多くないチャンスをどう生かすか、そのことに集中したのが良かったと思う。キリオスは、よく若い頃の自分に比較されるが、彼は21歳ですでにトッププレーヤー。特にサーブコントロールはツアーで5本の指に入る選手だ。昔の自分とは違う」
キリオスはこの日、股抜きショットを股抜きで返す見せ場を作ったが、ともにトリッキーなプレーで知られるショーマンだけに、楽しみな対決になった。
またこの日の第1試合ではゴフィンが、ジョアン・ソウザ(ポルトガル)に第1セットを奪われたものの、第2セットからは持ち前のスピードを発揮して逆転に成功。チリッチはフアン・モナコ(アルゼンチン)を寄せ付けず、ストレートで初のベスト4進出を決めた。
(文:武田薫)
楽天ジャパンオープンテニス
世界トップ選手のみが出場できるATPツアー公式大会の模様を、日本テニスの聖地・有明コロシアムから連日生中継。
大会日程:2016年10月3日(月)〜10月9日(日)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ