躍進する30歳、モンフィスが8強入り「あらゆる面で強くなった」

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 好天が戻った大会第4日、第2シードのガエル・モンフィス(フランス)、ジレ・ミュラー(ルクセンブルク)、イボ・カロビッチ(クロアチア)が勝ち上がり、ラデク・ステパネク(チェコ)が故障で棄権したため、第6シードのニック・キリオス(オーストラリア)も準々決勝に駒を進め、ベスト8が出そろった。

充実のシーズンを戦う30歳モンフィス

30歳になったモンフィス。肉体、精神、戦術、あらゆる面での成長を実感している 【写真:アフロスポーツ】

 モンフィスが好調だ。30歳になった今シーズン、コーチを替えるなどチーム体制を見直し、7月のワシントン(シティ・オープン)で初めてATP500のタイトルを奪取。全米オープンでは1セットも落とさずにベスト4入りし、世界ランキングでは5年ぶりにトップ10に返り咲いた。そのワシントン大会の決勝もマッチポイントを握られてからの逆転勝利だったが、どちらかというと淡白だったプレーに粘り、執着が出てきたのが今シーズンの躍進の最大の理由。この日も充実ぶりを披露した。

 対戦成績ではジル・シモン(フランス)の6勝1敗、しかも最近では4連勝。じっくりボールをつなぎ、相手が焦れて攻め込んだところでカウンターを仕掛けるのがシモンの戦術で、この日もフルセット勝負を頭に入れていただろう。モンフィスが第1セットを6−1で奪ったが、第2セットに入ってからシモンの静かな反撃が始まった。シモンは第1ゲーム、デュースからの長いラリーを2本続けて奪ってサービスキープして流れを引き込んだ。第2ゲームを4ポイント連取でブレークすると、続く第3ゲームは1ポイントを許したのみでキープ。あっという間に3−0と持ち込んだあたりが、32歳のベテランの巧(うま)さだ。

 しかし、ここからがモンフィスの強さ。ミスが出ても我慢してラリーを続け、シモンを左右に振りながらチャンスを広げ、得意のフォアハンドの逆クロスを軸に攻撃姿勢を維持した。第6ゲームのサービスで左足を痛めトレーナーを呼ぶ場面……これも戦術だったかと思わせるほど冷静にペースを引き寄せ、第7ゲームから4ゲーム連取で逆転し、ストレートでの完勝だった。

ベスト8の半分が30代

2回戦の対戦相手、シモン(写真)も32歳。準々決勝には4人の30代選手が進出した 【写真:アフロスポーツ】

「これまでと違う結果になったのは、いまの自分が、肉体的にも精神的にも戦術面でも、あらゆる面で強くなったからだ。自分が何をすればいいか、分かっていた」

 ベスト8が出そろい、37歳のカルロビッチを筆頭に、33歳のミュラー、32歳のフアン・モナコ(アルゼンチン)、そしてモンフィスと30代が4人も勝ち残った。これは必ずしも偶然ではないようだ。トマーシュ・ベルディハ(チェコ)は1回戦で敗れた後にこう話していた。

「これまでの10年余り、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)ら限られた選手がほぼ上位を独占してきた。(彼らがピークを越した)いま、若い選手が台頭してきたのは当然の成り行きだし、多くの30代のプレーヤーが活躍を続けているのも、ここまでの時代の流れから考えれば理解できることだ」

 2強、3強時代に陽(ひ)の目を見なかったタレントが、ツアーの中層を形成し、錦織世代、さらにキリオス世代との前に立ちはだかっているということだろう。21歳のキリオス、25歳のダビド・ゴフィン(ベルギー)のここからの戦いぶりに注目したい。

 なお、前日の2回戦で臀部(でんぶ)を痛めて棄権した錦織圭は、来週の上海マスターズは欠場、拠点のフロリダに戻って治療に専念し、10月24日開幕のバーゼル(スイス・インドア、ATP500)からの出場に備えることになった。

(文:武田薫)
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