錦織、リードされるも見せた実力差 楽天3度目Vへ、“余裕”の初戦突破
対戦相手が変わるも動じず
ヤング(左)を下し初戦を突破した錦織 【写真:アフロスポーツ】
ヤングは15歳で全豪オープンジュニア、17歳ではウィンブルドン・ジュニアで優勝し、米国のホープとして期待された才能の持ち主だ。同じ1989年生まれで、フロリダのキャンプ育ちの錦織とはジュニア時代から手の内を知り尽くした関係。左利きのワイドへのサーブ、回り込んでのフォアハンドの威力が要注意のプレーヤーだ。
互いにサービスキープして迎えた第1セット第9ゲームのヤングのサーブ、ドロップショットの揺さぶりにも足が動き始めた錦織がラリー戦を制し、2本のブレークチャンスをつかんだ。しかし、このチャンスを生かせなかったあたりが休養明けのリズムの難しさだろう。錦織は逆に、第10ゲームをダブルフォルト絡みでブレークされ第1セットを献上した。
「午前中まではニコ(アルマグロ)とやると思っていたので、ちょっと驚きました。ただ、試合展開は以前(2014年)に全豪でプレーしたときと同じ。第1セットは浅くなったところをたたかれた。もっとトップスピンを使うべきでしたが、久しぶりの試合ということもあってそう簡単だとは思っていなかったし、相手もあのまま続くとは思えなかった。第2セット以降はうまく修正できたと思います」
これまでの対戦成績は錦織の3勝で、セットを落としたのはこれが初めて。しかし、ここからがトップ10に入って3シーズン目の実力者と、世界ランク81位の差だ。
第2セット、錦織は第3ゲームを早々にブレーク。この日はファーストサーブの確率が70%と高く、要所で時速190キロ台後半のサーブを繰り出し、このセットの4度のサービスゲームのうち、相手に与えたポイントは4ポイントだけ。ファイナルセットもあっという間に2ブレークアップして、貫禄の違いを見せつけた。
次戦へ「リラックスして臨みたい」
「グラウンドストロークが武器の選手で、ラリーが多くなると思います。次は、もっとリラックスして臨みたいと思います」
全米オープンを大きな区切りにして、ツアーは11月末のツアーファイナルに向かって終盤戦に入っている。全米後にはアレキクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、ルーカス・プイユ(フランス)、カレン・カチャノフ(ロシア)といった若手が立て続けにツアー初優勝を飾り、再び活気を取り戻しているが、錦織も胸に秘めた決意があるだろう。グランドスラム制覇こそ来年の宿題になったが、まだマスターズ1000初優勝という目標は残る。今年の楽天オープンでは、初めての第1シードとして、2年ぶり3度目の優勝を狙っているが、より高みへ上るための助走としての位置付けもあるはずだ。
その他では、添田豪(GODAIテニスカレッジ)はフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)から第1セットを奪ったが逆転負け。第4シードのマリン・チリッチ(クロアチア)は昨年準優勝のブノワ・ペア(フランス)を倒し、2回戦に進んでいる。ダブルスの1試合も行われ、ダニエル太郎(エイブル)と内山靖崇(北日本物産)ペアは敗退した。
(文:武田薫)
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