中日・森繁和新監督、就任会見で危機感 「底上げを!この状態ならまたBクラス」

ベースボール・タイムズ

われわれにもワクワクさはまだある

「選手の底上げが必要。このままならBクラス」と危機感あふれる就任会見となった 【写真は共同】

――セ・リーグは青年監督で溢れたなか、経験豊富な森監督に注目が集まります。

 そうですね、60歳過ぎた人が去年パ・リーグに入っていきましたけど、あまりいい成績じゃなかったので。それに負けないように同じ苦しみは今年で結構です、と。来年は少しでもいいものが出せるように頑張ります。年寄りの最後のあがきと思ってイジメないで見守ってください。

――森監督から根本睦夫監督を思い出すのですが、理想の監督像は?

 私が言い表すのは難しいところがあるんですけど、兄貴と慕われるようなものも必要だし、親父と思われるのも必要だし。ただ自分の子どもと同じような扱いもしなくちゃいけないときもあるだろうし。あまり手足を出すとことは今は違うかもしれませんが、本当に心のこもった叱咤激励はしていかなくちゃいけないし。一般の社会人と同じようなことができる人間にもさせなきゃいけない。そういうことも(根本さんから)言われてきましたから。それは同じように、私の心の中にあるものは全部出し切って接していきます。それが根本睦夫像です。

――新監督としてファンへの想いやアピールは?

 アピールよりも今回このような成績でナゴヤドームの最終戦でライトスタンド、今回の東京ドームのレフトスタンドのお客さんの声援を聞いていると本当に涙が出そうになりましたね。これだけの成績の悪さの中、最下位も決まり、最後までああいう声援をしてくれるドラゴンズファンってのはすごいなと。本当に感謝の想いでドームのレフトスタンドに行って頭を下げました。これがレフトだけじゃなくセンター寄りまで、サード寄りまでそのぐらいになれる最終戦をビジターで迎えるときはしていきたいし、ナゴヤドームでやるときはライトスタンドまで届くお客さんを入れるような勝ち方でAクラスを目指します。

――他にご質問のあるかたはいらっしゃいますでしょうか?

 ありません(※会場に笑いがこぼれる)。

――広島のようにファンがワクワクするようなチームになるために必要なことは?

 広島の野球を見たとき、ヒット3本で1点も取れないゲームがウチは何回かありました。何とか先の塁を狙う姿勢、ちょっとジャッグルした隙に次の塁を狙う走塁面、そういうものに関してウチは落ちているな、と。1本のホームランで1点を取れますけど、ヒット1本で1点を取れる野球を見習わないといけないと思います。

 あとはお客さんと一体化というのは勝利があるとついてくるものだと思っています。そういうものに早く追いつかないとウチもなかなかライバルになれないと思います。ですから、この秋の練習では私が思っていた以上のものを野手の人たちにはやってもらわなくちゃいけないことが多くなるでしょう。ピッチャーはもちろんこのまま引き続きいろいろなことがあります。それをやりながら、まだ来年まで時間があります。この秋、冬、そして春のキャンプ、そこを本当に大事にして一歩でも近づけるようにしたいと思います。そのワクワクさは、まだわれわれにはあると思っていますので、追いつけるように頑張ります。

早く点を取って守り勝つ野球を――

――谷繁前監督は“守り勝つ野球”を掲げたが、森監督の掲げる野球は?

 谷繁監督とも一緒にやってきたバッテリー、守り勝つ野球は理想だと思います。理想は追いかけます。でも、守り勝つというのは、点が取れて守り勝つもの。監督となった以上、点も取りにいかないといけないし、かといって簡単にひとつのアウトをあげる野球も嫌なんで。1点を取りにいって1点も取れないときと、2点、3点を取りにいって1点も取れないとき、どちらがいいかは判断に任せてもらうしかないんですけど。1点を取りにいって取れなかったときに、ピッチャーが苦しむことは私なりに分かっているつもりでいます。

 だったら1点を取りにいかずに、2点、3点を取りにいってその流れのままの勢いを持っていくという野球も必要なのかなと思います。基本的にはピッチャー、キャッチャー、ショート、セカンド、センターを中心の守り抜く野球が私の理想ですけど、先取点、中押し、ダメ押し。そういうものがあれば、いろいろなことができると思う。

 攻撃にも策はあると思います。それもやっぱりバッティングコーチ、守備コーチ、いろいろな人に相談しながら、話し合いながら、こういうものを取り入れようと。こういうものを取り入れていかなくちゃウチは無理だというものは当然出てくる。

 まずはピッチャーのことが一番心配だと言いましたが、先発ピッチャーを何人揃えようとか、リリーフ陣の7、8、9回はどうしようかということも必要かもしれませんが、タフな強いヤツらを鍛えていきたいなと。7イニング、8イニングを投げる先発ピッチャーや、1イニングをゼロで抑えてくるタフなヤツをひとりでも多く育てて使っていければいいなと思いますし、できればセットアッパー、クローザーを外国人に任せるということも今は考えています。

 それには(外国人が)野手2人、投手2人が理想なのかも分かりません。今年のように野手3人となるとなかなかピッチャーの方はうまく回らないので、この辺はもう一度今の状態、これからの選手の補強を踏まえてしっかりとしたものを球団に相談して補強できるのであればしていきたいし、伸ばしていけるものは伸ばしていきたい。1イニングを任せていける人たちをどんどん作っていかなくちゃいけない野球になるんじゃないかと思います。期待するものはいっぱいありますけど、その建て直しに不安もあります。9イニングで終わると限らない野球、昨日も12回までやってしまうツラさもありますが、それに耐えていくタフな連中を作りながらやっていきます。それが目指す野球といったら、その野球ですね。

 守り勝つといえば守り勝つ、でも点を取らないと守り勝つとはならない。ずっと引き分けのまま1イニング、1イニング延びていくだけになる。早く点を取り、抑える人が抑えて勝つ野球が理想なのかなと思います。その理想ができるのであれば今年のような負け方はできないと思いますから、ひとつでも理想に近づけられるように頑張ります。

――「皆さんがなるだろうと思っていた監督が苦労するなら俺がやろう」と言われた真意として、その監督候補として名前が挙がっていた人物への想いがあるのか?

 そのとおりです。皆さんが思っている人と私が思っている人が一緒かどうかは別問題ですけど、それを考えなかったことはないです。

――建て直しに要する期間はどのように考えている?

 東京ヤクルトが最下位から優勝した年もありましたが、そう簡単にできることではないだろうし。ただ、この状態であればまたBクラスになるという危機感はみんな持っていると思います。そこは底上げも必要だろうし、力を出せなかった人たちが挽回してくれるかで変わるでしょうけど。私としては1年で出来てくれればそれに越したことはないですけど。今年のドラフトやFAも含めて、どのような補強ができるかによって違うと思いますが、1年間でできるのであれば1年目のときにBクラスからAクラスにというのは思うこと。そこを目指していると思います。

――いい形になるにはどのくらいの期間がかかるか?

 それは種を蒔いても芽が出てこない人は出てこないし、水がなければ育たないだろうから。いい人がいれば悪い人もいるという時期が重なると思いますので難しいですね、その質問は。ゆっくり考えてふたりだけでお話しましょう。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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